ARS's ｼｮｰﾄｽﾄｰﾘｰｽﾞ2017 (ページ25)

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そばにいたい〔12〕ページ25

きっと俺がおーちゃんの立場だったら、同じことを言うと思う…。

告白の成功を祝福して、相手の幸せを願って、笑顔で「さようなら」て言うと思う…。

そしたら俺は、笑って「さようなら」て返してほしい。

だったら・・・

グッと気持ちを堪えてソファから立ち上がり、それを見ておーちゃんも同じように立った。

溢れる涙を拭い、向かい合う俺らはしばらく黙って見つめ合った。

これが恋人同士として話す最後の時だと思ったら、今までおーちゃんと過ごしてきた日々が、走馬灯のように駆け巡った。

相「おーちゃんっ……今までありがとうっ…」

大「うん。こちらこそ」

相「俺っ…すっごく楽しかったっ…」

大「おれもめっちゃ楽しかった」

相「俺っ…今日からはっ…翔ちゃんの恋人として頑張ってくっ…」

大「ふふっ、頑張らなくていいんだよ」

相「俺っ…ちゃんと幸せになるからっ…」

大「うん。そうしてくれぃ！」

相「だからっ…おーちゃんもっ…幸せになってねっ…」

大「ふふっ、ありがと。相葉ちゃん」

相「じゃあっ…」

決意が揺らがないように、グッと拳を握りしめた。

相「さようならっ…おーちゃんっ…」

泣くのを必死に堪えながら、最後に精一杯の笑顔を見せた。

そんな俺を見て、おーちゃんもふわっと優しく微笑んだ。

最後に軽くハグを交わし、俺はこの家から出ていった。

エントランスを出て、外からおーちゃんの部屋の窓を見上げた。

明かりがついているのが見える。

あそこにおーちゃんはいるけど、俺はもう…ここへは来ない。

何ヶ月も通ったあの部屋が、急に恋しくなった。

半年前、俺のあり得ない我儘を受け入れてくれた優しいおーちゃん。

今までそばにいてくれて

ありがとう

ずっとずっと

隣で笑っていてくれて

ありがとう

あなたがいたから

俺はちっとも寂しくなかった

あなたと過ごした半年間

とっても幸せでしたっっ…

相「…ぅぅぅぅっっ……おおちゃんっっ…」

再び涙が溢れてきて、俺は声を出して泣いた。

いつまでも泣いてちゃダメだ…

翔ちゃんのところに行くんだから…

ゴシゴシと腕で涙を拭って、俺は歩き出した。