ARS's Story －My Dream－ (ページ37)

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THIS IS 智会 ① ページ37

【大野智】

少し肌寒い朝。

窓から見える遠くの木の葉が薄っすらと色づいている。

もうそんな季節かぁ。

澄んだ青空を眺めた後、スーと静かにカーテンを閉めた。

今日は帰らないから。

スマホの時計をチラッと見ると、約束の時間まであと5分。

あ、もう来るな。

そう思った瞬間、スマホが光った。

予想通りの名前が映る画面をタップして耳に当てると、「着いたから降りてこい」のひと声で電話が切れた。

昔からこんなだから慣れている。

少ない荷物が入った鞄を持って、俺は家を出た。

今日は松兄と二人で温泉旅行に行く。

気持ち悪いでしょ？(笑)

最初は、断ったんだよね(笑)

んでも、何度もしつこく誘ってくるもんだから、仕方なく「分かった、行くよ」て言っちゃった(笑)

んまあ、予約も松兄が全部やってくれて、お金も松兄もちって言うならいっかぁ。

キャップを深めに被った状態でマンションのエントランスを出て、マンションから少し歩いた人通りの無い方へ向かっていくと、見覚えのある車が停まっているのが見えた。

その車の方へ向かっていくと、車の方からゆっくりと近づいてきてくれた。