メインボーカルのピンチ�� ページ18
大「ン"ッ、ア"ー、ア"ー、や"へ"ぇ‼」
ニ「ああ！水、みず！お水ちょうだーい！」
急いでマネージャーから水を貰ってリーダーに渡して。
焦ってリーダーを囲む俺らの様子に周りのスタッフもざわついている。
一生懸命咳払いをして喉を整えようとしているリーダーの背中を相葉くんがさすっていて、翔くんは周りのスタッフに「すみません、ゴメンなさい」と謝っている。
俺はこんな時の為にとマネージャーに渡しておいた超強力な爽快ミントのタブレットを受け取って2粒ほどリーダーの口の中へ入れて無理矢理食べさせた。
松「時間ないから噛んじゃって」
しかめっ面でガリガリと噛むリーダーを俺らはジッと見つめ。
松「水で流しちゃって」
早く飲み込めるように、と、爽快感が増すようにという意図で水も飲ませ。
再びリーダーが咳払いをして喉を整え始めた。
大「ンッ、ンンッ、ン？あー、あー、あ、治った！」
ようやく声が戻ったことにみんなで安堵し、すぐにスタンバイに入った。
生放送でほんの少し待たせてしまった分、みんなもすぐにスイッチを切り替えた。
そして、いよいよ俺らのパフォーマンスが始まった。
さっきまであんなことがあったとは思えないくらい、みんな何事もなかったかのようにパフォーマンスをしている。
当たり前だけど、みんなプロだよな…。
リーダーも普通に歌えているみたいだし良かった。
2曲目に入って、明るい曲に合わせて少し肩の力を落としてひたすら楽しく歌って。
しっかり踊って歌う3曲目の為に体力を調整しながら順調にパフォーマンスしていき。
2曲目の終盤に入って、歌いながら自分のポジションへと向かって歩いていたら。
前から同じく歌いながら歩いてくるリーダーとすれ違った瞬間。
リーダーの声がガラガラになって、途中で歌うのをやめたことに気付いた。
ヤバいな…
もう間もなくリーダーのソロだ。
カメラに抜かれていない時を見計らってマイクを離して咳払いしているのが、俺のポジションからがっつり見える。
すぐ近くにいるニノも異変に気付いてチラッとリーダーを見た。
翔くんもパフォーマンスしながらチラッと見ている。
相葉くんだけは完全に自分のパフォーマンスに集中している。
いや、本来はそれが正しいんだけど。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2021年1月4日 2時
