ARS's Story －My Dream－ (ページ16)

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メインボーカルのピンチ② ページ16

ガチャッと楽屋のドアを開けると、既に他の3人が来ていた。

楽屋には加湿器が二台設置されていて、ちゃんと加湿されている。

俺が湿度にはうるさいからね。

楽屋に入った途端、十分に加湿されているせいか、リーダーの咳が止まった。

その事にホッとはしたものの、念のためと思って鞄から取り出したものをリーダーに渡しに行った。

松「はい。良かったらどうぞ」

大「おっ。ありがとう」

個包装になっているのど飴を3つ受け取ったリーダーが、さっそく1個を口に入れた。

ニ「どうしたの？喉痛いの？」

椅子に片脚だけ膝折って座っているニノが、スマホでゲームをしながら聞いてきた。

ニノはゲームに集中しながらも何気ないひとの会話がちゃんと耳に入ってるからスゲーよな。

大「んや、痛くはないけど、なんかたまに乾燥して咳出るんだよ」

松「喉にオッサン詰まってるらしいよ」

櫻「オッサン！？」

松「タナカさんらしいよ(笑)」

相「誰だし、タナカって！(笑)」

ニ「あーあ。ちゃんと喉潤してタナカをおとなしくさせておかないと大変だよぉ～？生放送で歌うんだから」

大「平気。今、おとなしくなった」

松「マジっスか！？(笑)」

ニ「あ、意外と聞き分けのいい奴なんすね。良かったじゃない」

相「寝た？寝たんじゃない？タナカ」

櫻「そいつ、すげぇ見てみてぇわぁ(笑)」

なんて冗談を言い合って、いつも通りの様子でリハーサルまで待機していた。

待機している間、ずっとリーダーの様子を見ていたけど、あれから咳をすることもなく、どうやら本当におさまったようだ。

良かった…。

リハーサルのスタンバイで声を掛けられ、俺らは一緒にスタジオへと向かった。

廊下を歩いてスタジオへ入った途端、またリーダーが咳き込んだ。

松「大丈夫？！」

大「ゲホッゲホッ…急に喉に来た！」

ニ「あーあー…やっぱ乾燥しちゃってんのかな」

リーダーの隣にいるニノがサラサラと背中をさすっている。

松「ちょっとさ、水ちょうだい」

一人一人に用意されているペットボトルの水をマネージャーから貰って、また蓋を開けてからリーダーに渡した。