ARS's Story －My Dream－ (ページ15)

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メインボーカルのピンチ① ページ15

【松本潤】

今日は生放送の歌番組に出演する。

放送時間の数時間前に車で局入りし、車を降りて入り口へ向かおうとした時。

ちょうど同じタイミングで車で到着したリーダーと、駐車場で鉢合わせた。

松「お、リーダー。おはよございます、奇遇ですね」

大「おっ。松潤。おは…ケホッ、ケホッ」

喋りだした途端、リーダーが乾いた咳をした。

松「大丈夫？」

声を掛けながら、まだ小さく咳が残るリーダーの背中をさりげなくさすった。

大「なんか喉が乾燥してんだよなぁ」

喉を押さえながら険しい顔をするリーダー。

なんか苦しそうな顔してんな。

松「水飲む？水分摂った方がいいよ」

俺がいつも常備しているこだわりの水(常温)をマネージャーから受け取って、グリッと蓋を開けてからリーダーに渡した。

大「えっ。飲んでいいの？」

松「いいよ。私の分もちゃんとありますんで(笑)」

大「んふっ…じゃ…あ、ありがと」

なんかちょっと笑いながら水を飲む大野さんを横から眺めながらゆっくりと一緒に歩いた。

大「ウマイ」

松「お、分かりますか」

大「味の違いとかはよく分かんねぇけど(笑)」

松「分かんねーのよ(笑)」

そういう事を正直に言っちゃうリーダーが俺は好きだよ。

一緒にエレベーターに乗り、楽屋へ向かう間もリーダーは何度か咳をして、その度に水を飲んでいた。

そして楽屋の前に辿り着いた今。

乾いた咳からちょっと痰が絡まった咳に変わった。

松「大丈夫か！？」

大「えほっ、ゴホッ、んんっ…なんか喉にいるな」

松「何がいるんスか！？」

大「オッサンがいる」

松「喉に！？オッサンがいるの！？(笑)だ、誰っすかそいつは！？(笑)」

大「タナカだな」

松「誰っ！？(笑)」

笑いながらも再び咳込むリーダー。

…心配だな。

松「いや、マジで大丈夫！？今日、生放送っスよ！？」

大「ヤベぇなぁ。んんっ」

再び喉を押さえながら険しい顔をする姿に、マジで心配になってきた。