ショック�� ページ29
え…？
二人が今日会うだなんて、俺、一言も聞いてないよ…
潤くんは俺の誘いを、予定があるからと言って断った。
別に、逐一俺に誰と会うだなんて言う必要もないんだけど。
兄貴と会う予定だったのなら、俺に言ってくれてもいいじゃん。
兄貴だって、俺に何も言わなかった。
そもそも、潤くんと兄貴が二人っきりで会う理由て何…？
もう一度、二人の方を見た。
楽しそうに話している二人。
その姿が、仲良しというよりも…
お似合い、て感じで…。
何故だか胸がズキンとした。
違うよね…？
たまたま会っただけなんだよね…？
どうしても確認したくなって、俺は自転車に乗らずに手で押して二人の方へ近づいていった。
二人の前に俺が姿を現した途端、潤くんと兄貴が驚いた様子で足を止めた。
松「ニノ何してんだよ、こんなとこで」
潤くんが何やらソワソワとしている。
智「あれかず、まだ帰ってなかったの？」
兄貴はいつもと変わらない口調で言う。
ニ「…潤くん今日予定あるって言ってたけど、それって兄貴と会う予定だったの？」
心拍数が上がるのを必死に抑えながら静かな口調で訊いた。
すると、二人がチラッと目を合わせ、潤くんが気まずそうな顔で俺を見た。
松「まあな…。ちょっとお兄さんに相談があって」
ニ「相談…？」
松「大したことじゃないんだけどな。あ、お兄さん、今日はありがとうございました」
智「おう」
ニ「相談て…なに？」
松「いや…それはちょっと」
言いづらそうにする彼。
緊張とかではない別の感情で、自分の心拍数が上がっていく。
ニ「…それって、俺も一緒にいたらダメだったの？」
松「いや…なんつーか」
ニ「あ、俺には言えないことなんだ」
松「………」
途端に黙る彼の姿に、前頭部がカァと熱くなった。
ニ「あっそう。ふぅん。なんかやましい事でもあるんだ？」
松「えっ」
ニ「相談とか言って本当は仲良くデートしてたんでしょ？」
松「ちがっ…」
智「かず」
ニ「いいじゃん、二人なんだかお似合いだし、付き合っちゃえば？」
松「お前何言ってんだよ！俺はっ…」
ニ「…もういい」
松「え…」
ニ「勝手にしろよッ！」
松「なっ…おい、ニノっ！！」
智「かず！」
逃げるように自転車に乗って去った。
なんでか分からない。
分からないけど、すごくムカついた。
それは、兄貴に対してじゃなくて。
潤くんに対して。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年5月3日 21時
