女の子も悪くないかもね�� ページ25
よく晴れた真っ青な空の下で、先生が買ってくれたアイスを食べている俺達。
だけど、俺の隣に座る潤くんがまだ不貞腐れている。
櫻「松本くん。いい加減機嫌を直しなさい」
松「…抹茶も食べたかったなー」
櫻「今度買ってあげるからね」
松「………」
唇を尖らせながらスプーンでちょびちょびとマロンアイスを食べている潤くんの姿が、子供みたいでなんだかカワイイ。
櫻「智は、バイトはしないの？」
俺の向かいにいる先生が、スプーンを口に含みながら智の方を見た。
智「いつかする」
松「いつかって(笑)」
ニ「そういえば、5月の始め頃に、バイトでもしようかなとか言ってなかった？」
智「うん。でも、やめた」
ニ「なんで？」
智「んー、他のことに時間使いたいし？」
松「何かやりたいこととかあるんすか？」
智「特にないけど」
松「無いのに！？(笑)」
櫻「ま、ま、智は多趣味だしね？」
松「そうなんすか？」
智「まあ」
櫻「勉強もちゃんとしろよ？」
智「んふふ(笑)」
櫻「笑って誤魔化さない」
智「そのうち気が向いたらバイトすっかな」
松「でも俺、お兄さんがバイトで忙しくなって会えなくなるのは嫌だなー」
兄貴が潤くんを見ながら、ふふっと柔らかく笑う。
考えてみれば、俺が女の子になってから、兄貴は一度もバイトを始めようとする素振りを見せなかった。
それどころか、4月は遊びまくっていたのかあまり家に居なかったのに、俺が女の子になってからはずっと家にいる気がする。
もしかして兄貴がバイトをしないのって、俺の為…？
…なわけないよね。
櫻「そういえばさっき、キミ達カップルに間違われてたね(笑)」
今度は俺と潤くんに向かって笑いながら言う先生。
ニ「やっぱ俺、女に見えるんすね(笑)」
櫻「うん。私服だと尚更ね」
松「…つかさ、どーせ学校でも俺ら付き合ってることになってるしな？」
櫻智「えっ？」
先生と智が同時に目を丸くした。
櫻「そうなの…？」
ニ「あー…まあ…成り行きで(笑)」
智「ほぉん、そうなんだ」
兄貴が無表情でアイスを食べ始める。
興味無いのかな…？
櫻「でもさぁ、学校だとキミ達男同士だと思われてるんでしょ？いいの？」
チラッと一瞬だけ潤くんと目を合わせた。
ニ「俺は…別に」
松「…俺も別に」
櫻「へぇ〜(笑)」
正直、いいのか分からないけど。
「嫌だ」と言われなかったことにホッとした…。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年5月3日 21時
