逆ハーレムデート？�� ページ23
俺が子供の頃に乗っていたような乗り物が並んでいる景色に興奮が止まらなくて、ずっと潤くんの腕にコアラ並みに巻きついていた。
ニ「アレ懐かしいなぁ！子供の頃ね、よく母さんと一緒に乗ったんだよね〜！あっ！アレも！ねぇ、潤くんも乗ったりしてた？」
まるで子供のようにハシャぎながら、隣にいる潤くんの方へ顔を向けた。
すると潤くんが、何やらソワソワとしていて俺から視線を逸らしている。
ニ「どうしたの？潤くん」
松「いや…別に」
ニ「？」
テンションが違い過ぎる潤くんはお構いなしに、今度は縁日コーナーの方へと否応なしに連れていった。
ニ「わっ、す〜ごい！射的だ！」
俺達以外、人がいない縁日コーナーで、またしても俺は一人でハシャいでいた。
「1回300円ですよ〜」
スタッフのお兄さんが爽やかな笑顔で声をかけてきた。
ニ「300円かぁ〜どうしようかなぁ〜。でも、結構イイ賞品置いてあるね！」
射的の賞品を眺めながら、う〜んと考えていた。
「どうですか？彼氏さん！カワイイ彼女さんに、ぜひカッコイイ姿を見せてあげては！」
ニ松「え？」
笑顔のお兄さんが、潤くんに向かって言った。
俺達は自然と目を合わせた。
よくよく考えたら男と女が二人で、しかも腕を組んでいたら、誰が見たってカップルに見えるよね…。
そのことに気付いた途端、急激に恥ずかしくなって慌てて腕を離した。
ニ「あ、いや…結構で…」
松「…やってやろうじゃん」
ニ「へ？」
お兄さんにお断りをしようとしたのを遮って潤くんが答える。
バキバキと手を鳴らして、潤くんがやる気満々だ。
どこでスイッチが入ったのか知らないけど、松本潤が燃えている。
松「ニノ、どれ欲しい？」
ニ「え…じゃ、じゃあ…8番」
松「よっしゃ、ぜってぇー取ってやる！」
よく分からないけど、松本潤が熱くなっている…
櫻「射的で三千円も使う奴がどこにいるんだよ」
松「スンマセン…」
智「勿体ないなぁ〜」
ニ「………」
さっきの闘志から一変して、枯れたようにうな垂れている彼。
やる気は満々なのに、全然的に当たらなくて。
それに加えて彼の負けず嫌いが発動して。
高校生にとっては大金の三千円を、ものの数分で失ってしまった。
そんな彼が三千円も注ぎ込んで取ってくれたのは。
俺の希望の8番…ではなく、その手前の3番の犬のストラップ。
お礼を言ったら更にずーんとうな垂れる彼を見て、俺はフフッと笑った。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年5月3日 21時
