聞きたいけど�� ページ18
夜、お風呂から上がってタオルで髪を拭きながら、ベッドにポスッと腰を下ろして考え込んでいた。
お弁当を買いに行った時から、まだ胸がモヤモヤとしたままだった。
あの元カノと1週間しか付き合っていなかったとは言え、その間に彼女と何回そういうことをシたのかなとか。
兄貴は女の子といる時、どんな感じなのかなとか。
なんだかんだあの人は優しいから、女の子にもきっと優しいんだろうなとか。
ていうか、さっきなんで俺のことを『カノジョ』て言ったんだよ！とか…。
ああもうなんか、モヤモヤするぅぅぅ！！
肩に掛けていたタオルをポイと投げ捨てて部屋を出て、すぐ向かいの兄貴の部屋のドアを、ノックもせず勢いよく開けた。
ベッドに寝転がってスマホをいじっていた兄貴の体がビクッと飛び跳ねた。
智「びっくりしたぁ」
ニ「なに、えろい動画でも見てたの？」
智「見てなくても今のは普通にびっくりするよ」
ニ「ふぅん」
謝りもせず、しれっと部屋へ入っていってボスンと腰を下ろした。
そんな俺の自分勝手な行動に、兄貴は笑いながら起き上がってベッドに座り直した。
その温厚さが悔しくて、また口を尖らせてプイと顔を逸らした。
智「なに怒ってんの(笑)」
ニ「別に。怒ってないよ」
智「まだ気にしてんの？」
ニ「なにを？」
智「童貞だって」
ニ「気にしてないよっ！！！」
なんなら今言われたせいで気にしそうだよ！！
ニ「それはもう忘れてよ！ていうか俺まだ高1なんだからいいじゃん。それに今おれ女だし。童貞じゃないもん」
智「んじゃ処女か」
ニ「うるさいっ！！」
すかさず肩をパシッと叩いた。
ケラケラと笑う兄貴の、年上の余裕みたいなのが悔しくて堪らない。
ニ「兄貴ってさぁ、女の子の前でもこうやってイジワルなわけ？」
智「さあ？」
ニ「じゃあ、女の子にはすこぶる優しいの？」
智「さあ？」
ニ「…じゃあ、意外と俺について来いみたいなタイプだったり？」
智「さあ？」
ニ「さあ？て、なんだよ！」
智「別に何も考えてないから分からん」
ニ「なんだよそれ！」
ぐわんと反り返ってツッコンだ。
この人って全然分からない！
ニ「…兄貴ってさ、今まで何人の人と」
智「あん？」
ニ「…やっぱ何でもない」
智「？」
経験人数を聞こうとしてやめた。
兄貴の数を数える指が何回も閉じて開いてを繰り返したらショックだから。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年5月3日 21時
