兄貴の恋人事情�� ページ15
生理になった次の日から、風邪と偽って2日間学校を休んでやった。
そして、生理になって5日目になる日曜日の今日、ようやく長い戦いから解放された。
本当に本当に辛かった。
こんな辛いイベントが毎月一回来るだなんて、女の子って大変だなと心底思った。
俺なんて、このまま男に戻れなかったら来月もまた来るんだ…と思っただけで、ぶっ倒れそうだよ。
スマホで調べたら、生理は個人差があって、長い人はもっと1週間以上続いたりするのだと知ってゾッとした。
これからは、もうちょっと女の子に優しくしよう。
本当にそう思うよ。
母「智。悪いんだけど、今日の晩ご飯はお弁当にするから、買いに行ってきてくれないかしら」
夕方、リビングのソファに座ってテレビで笑点を観ていたら、お母さんが俺の隣に座る智に背後から声をかけてきた。
智「分かった。何弁当買えばいいの？」
母「え〜と、そうね」
お弁当屋さんのチラシを見ながら悩む母親。
今日は親父が仕事でいない。
母「お母さん、タルタル白身フライ弁当にしようかしら♪」
智「ほい。かずは？」
ニ「あー…えーと」
俺の中ではハンバーグ弁当一択しかないんだけど…
ニ「俺も一緒に行って決めようかな」
なんとなく、お母さんと二人きりで家に残るのは気まずかった。
母「あら和くん、具合はもう大丈夫なの？」
…そういえば、そういう設定でした。
ニ「あーうん、もう平気。明日から学校も行けそうだし」
生理も終わったしね。
母「そう…。じゃあ、智と一緒に行ってきてくれるかしら。これ、お金渡しておくわね」
ニ「はいはいっ。兄貴、行こ？」
お母さんからお金を受け取って、黙って俺を見つめる兄貴の腕を引いた。
店内で、注文したお弁当を待っている間、顔を隠すように下を向いていた。
何も考えずに普通の格好で来てしまったけど、せめてキャップでもかぶれば良かった…
智「かず、トイレ行きたいの？」
ニ「…違うよっ！」
このソワソワの理由を分かってくれない鈍感な兄貴。
ようやくお弁当が出来上がって、サッと素早く持って急いで店内を出て行く俺の後に兄貴が付いてくる。
どうしても人の目が気になって仕方がなかった。
スタスタと歩く俺の横にやっと並んだ兄貴が、スッと俺の手からお弁当の入った袋を奪った。
奪うというよりは、代わりに持ってくれたという感じで。
女の子扱いされているようで、複雑な気分になった。
「あれ？智？」
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年5月3日 21時
