ラブ☆フォーエバー〔ＳＪ〕 (ページ9)

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今が大事④ ページ9

ようやく咳地獄から解放されて呼吸が整うと、再びテレビ画面の方へ目を向けた。

「大野さんは漁師からイラストレーターへ転職されたという異色の経歴をお持ちだそうですが」

「あ、元々イラストレーターの仕事してて。ほんで漁師に転職して。んで、またイラストレーターに戻ってって。んふふっ」

インタビューに答えている智が相変わらずの喋り方と笑い方で、その場の雰囲気がおっとりしているのが画面越しでも伝わってくる。

…てか、イラストレーターに戻ったのぉ！？

「あ、でも今もちょいちょい漁師の仕事もしてます。人手が足りないと借り出されたりして。バイトみたいな(笑)」

「大野さんは、なんでまた漁師からイラストレーターに戻ろうと思ったのでしょうか？」

「んー、漁師になるのが一番の夢で。で、その夢を叶えたから、またイラストレーターやりたいなぁて」

「大野さんは現在、1歳のお子さんがいらっしゃるということですが、転職に迷いはなかったですか？」

「ん～、奥さんに、転職したいんだけどって言ったら、好きにしてって言われたから特には(笑)」

画面の中にいる智が、照れたように笑っている。

…そっか。

ホント、相変わらず自由にやってるよなぁ…(笑)

智らしいよ。

フッ。

ワイングラスを片手に持ちながら、思わず一人で笑った。

和「へぇ～、このサミーて人、男だったんだぁ～」

潤「俺もこの人のスタンプ持ってるよ」

翔「最近よく送ってくるやつね」

相「う～ん…大野智って、どっかで聞いたような…」

相葉が腕を組みながら首を傾げている。

やべっ！

翔「相葉ちゃん、ワインもう一本開けちゃおうか」

相「やった！♪」

なんとか相葉の頭の中を、ワインの方へ引き寄せた。

相葉にはだいぶ昔に智のフルネームを教えたことがあるから、薄っすらと記憶にあるんだろうね。

思い出されたら顔面蒼白だわ。

潤もさすがに、イラストレーターから漁師というキーワードだけじゃ気付いてないみたいだし。

気付かれる前に逃げるべし。

俺はリモコンを持ち、テレビ画面の方へ向けた。

ピッとチャンネルを替える瞬間に見た智の顔は。

最後に会った時のように、幸せそうな顔をしていた。