夢叶ったね ページ50
智「おわっ、こりゃデカイぞ！」
子「とーちゃん貸して！おいらやりたいぃ！」
智「ダメだ、今大事なとこだから父ちゃんがやる！」
子「とーちゃんのいじわるぅ！かーちゃんに言うもんね！」
智「かっ…！すまん。返すから、母ちゃんに言うのだけは勘弁してくれ。おっかねぇから！」
さっきまで釣り竿を巡ってケンカしていたのがピタッと止まり、持っている釣り竿を子供に渡した。
そして、竿を掴む子供の手ごと智が後ろからキュッと握り、今度は一緒に糸を引き始めた。
智「いくぞ？」
子「うん！」
子供と一緒に釣り竿を握る智。
やがて、引いた糸の先には大きな魚がくっ付いていた。
子「やったぁ〜つれたぁ〜〜♪」
智「すげぇ〜〜めっちゃデカいメバルが釣れたぁ！♪」
二人してぴょこぴょこと喜びながらハイタッチを交わし、やがて智が魚をルアーから外した。
智「ほれ、ココ持ってみ？」
子「うわぁ〜〜すごぉい！♪」
小さな手で大きな魚を持つ子供の姿を、智は優しい笑顔で見ている
その智が手に持っている、メバルを釣った釣り竿の糸の先には、見覚えのあるルアーがついていた。
いつか俺が智に返したあのルアー。
智が一番気に入っていたルアーだ。
それを見て思わず一人でフッと笑みをこぼしていると、智とバチっと目が合った。
俺の存在に気付いた智が、少し驚いたような表情を浮かべた。
「パパぁ〜〜〜！！」
その瞬間、背後から俺を呼ぶ子供達の声が聞こえてきた。
振り返ると、倖と結が俺に向かって走ってきて、やがて二人が俺に飛びついてきた。
翔「おおっ…」
倖「パパ、大すきぃー！！」
結「ゆいも、パパ大すきぃー！！」
俺に抱きつきながら可愛い笑顔で言う二人を両腕で抱え上げた。
翔「ありがとー。パパも倖と結が大好きだよ〜〜」
二人をギュウと抱きしめて、二つの可愛いほっぺにキスをした。
そんな俺達のそばまで、潤が優しい笑みを浮かべて歩いてきた。
結「ママもパパのことすきぃ？」
潤「大好きだよ」
倖「パパはー？」
翔「当たり前だろ？大好きだよ」
潤と見つめ合って、お互いに照れ笑いを浮かべた。
結「パパ、おなかすいたぁー」
翔「そうね、何か食べに行こっか」
子供達を降ろして、チラッと振り返った。
智が俺のことを見ていた。
俺達は声をかけるわけでもなく。
手を振るわけでもなく。
互いに微笑み合って、俺は潤と子供達と一緒に歩き出した。
−完−
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
