男同士の誓い ページ49
倖「あー！パパとママ、チュウしてるぅー！」
結「パパがママにチュッてしたぁー！」
翔「やべっ！」
潤「(笑)」
ボールで遊んでいたはずの二人が、いつの間にかこっちの方を見ていて、俺らの方を指差している。
翔「こらぁ〜なに見てんだぁ〜〜！」
倖「わぁ〜〜♪」
結「きゃははは♪」
ふざけて二人を追いかけ回して、捕まえて。
子供達とじゃれ合っている姿を、潤が穏やかな笑みを浮かべて見ていた。
自動販売機で子供達それぞれに缶のジュースを買って、4人でベンチに座ってしばらくはくつろいでいた。
結「ママ、おしっこぉ〜」
潤「はいよ。倖は？」
倖「平気ぃー」
潤「じゃあ、結連れてトイレ行ってくるから、倖とここで待っててくれる？」
翔「オッケ。行ってらっしゃい」
結の持っている缶を受け取って、ベンチに座ったまま二人を見送った。
トイレに向かって手を繋いで歩いていく潤と結の後ろ姿を眺めて思った。
何があっても守ってやらなきゃな…て。
俺は、隣で缶のジュースを飲んでいる倖をグッと自分の方へ引き寄せた。
翔「なぁ、倖」
倖「んー？」
翔「4月から小学校に通うけど、不安じゃない？」
倖「よゆう」
翔「おまっ、生意気だな！誰に似たんだよっ」
倖の頭をクシャクシャと撫でた。
翔「あんさ、倖。パパ達が一緒にいる時はいいけど、もしパパ達がそばにいない時ね？」
倖「うん？」
翔「結のことをね、倖が守ってあげてくれるかな」
倖「コウが？」
翔「うん。倖は男の子だろ？結は女の子だからさ。な？」
倖「うん、わかった」
翔「よしよし、偉いぞ」
頭を撫でながらギュウと自分の胸に引き寄せると、潤と結が戻ってくるのが遠目に見えた。
翔「ママのことは・・パパが守るから」
倖を片手で抱きしめながら静かに言うと、倖が俺の顔を見上げてニコッと笑った。
潤と結が戻ってきて、今度は4人でボールで遊び始めた。
倖が蹴ったボールが、俺の足の横をすり抜けてポンポンと後ろへ転がっていった。
俺が一人で走っていき、意外と遠くまで転がっていったボールにようやく追いついた時、海岸沿いで釣りをしている親子の後ろ姿が目に入った。
お揃いの黒いキャップを被っている父親と小学生くらいの息子の姿を微笑ましく思いながらボールを取って戻ろうとしたら。
「あっ、とーちゃん！引いたぁ！」
「マジかぁ！ちょ、父ちゃんに貸してみ！」
父親の声を聞いてハッと振り返った。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
