これからの人生 ページ48
3月下旬、世間は春休みの時期だ。
倖と結が無事に卒園し、来月からついに小学生になる。
生まれた時はあんなに小さかった二人が、4月からランドセルを背負って自分の足で学校へ行くんだと思うと、感慨深いものがある。
今日は、二人の入学前の最後の日曜日。
天気にも恵まれ、ぽかぽかと暖かい陽気の絶好のお出かけ日和ということで、4人で海沿いにある広い臨海公園に遊びに来ている。
春休み中の天気の良い日曜日となると、当然のごとく公園にはたくさんの人がいる。
ウチと同じような子供連れの家族や、デートをしているカップル。
施設内にあるフードショップでご飯を食べていたり、芝生の上でお弁当を食べていたり、ボールで遊んでいたり、海岸沿いには釣りをしている親子もたくさんいる。
とにかく360度どこを見渡しても、楽しそうな姿で溢れ返っている。
俺達は広い芝生を越え、海のすぐそばのアスファルトの場所へ来た。
倖と結が、持ってきた子供用の柔らかいボールで遊びだしたから、俺と潤は海沿いの柵に寄り掛かって、遠目から子供達の姿を見ていた。
翔「あいつらも、もう…小学生かぁ」
潤「早いね。あっという間だね」
翔「こうやってさぁ、どんどん大きくなっていって、そのうち親の手を離れる時が来るんだよなぁ…」
潤「そうだね」
翔「嬉しいような、寂しいようなって感じだよな」
潤「それが親心だよね」
海風が吹いて、潤の緩い癖毛の黒髪がフワッとなびいた。
翔「潤さ、倖と結がもう少し潤の手から離れられるようになったら、仕事復帰したい？」
潤「…正直言うと、また復帰したいなって思うよ」
翔「じゃあ、また復帰しなよ？」
潤「えっ…いいの？」
翔「もちろん。ま、ま、タイミングとかあるだろうけど、それは潤に任せるからさ」
潤「でも…」
翔「そん時は、俺もちゃんと二人のこと見るし、家のことも出来る限り手伝うから」
潤「翔くん…」
翔「潤さ、自分の会社を立ち上げるのが夢なんでしょ？今からでも遅くないって俺は思うよ？」
潤「でも、翔くんはそれでいいの…？家のこともそうだけど、新しい子供のこととか…」
翔「俺はもう十分過ぎるくらい幸せと夢を与えてもらったから。それに、倖と結がいれば俺はもう満足だし。だから…ね？」
潤「…ありがとう、翔くん…すげー嬉しい」
潤が本当に嬉しそうな顔をするもんだから、思わず顔を近づけてチュ…と触れる程度の軽いキスをした。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
