下手でもダサくても許して�� ページ43
そして、ついに子供達が幼稚園に入園した。
幼稚園の制服を着てバスに乗っていく姿を潤と一緒に見送った時は、さすがに目頭が熱くなった。
大丈夫かななんて心配していたけど、二人して元気に「ただいまぁー」て帰ってきたと潤から聞いてホッとした。
なるべく早く仕事から帰ってくるようにして、子供達がまだ起きてる時間に帰ってこれた時は、それぞれの幼稚園での出来事を聞いたりしている。
お友達ができただとか、幼稚園でお歌をうたっただとか、幼稚園で絵を描いただとか。
二人が4歳になった頃には、ウチのリビングの壁のボードは、二人が幼稚園で描いた絵で埋まっていた。
ボードに貼られた絵の中にはパパやママの似顔絵もあって、仕事から帰ってきて疲れている時はそれを見て癒されている。
知らない間に、子供はどんどん成長していく。
「パパ、パパ」て抱きついてきてくれる期間なんて、きっとそう長くはないんだと思う。
だからこそ、素直に寄り添えるうちに、なるべく一緒に過ごしたいなって思う。
結「こんどはパパが描いてぇ」
結に黒いクレヨンを渡された。
雨が降って公園に遊びに行けない日曜日。
只今、家の中で倖と結と一緒にお絵描き中。
潤はキッチンで、お昼ご飯の焼きそばを作っている。
翔「いいよ。じゃあ、パパの得意な絵を描くからね」
ペラッと捲ったお絵描き帳に、何の迷いもなくサッサッサとクレヨンで絵を描いていった。
はい、完成。
やべ、ちょっと上手すぎじゃね？
翔「ジャジャーン」
得意げに倖と結に向かってお絵描き帳を見せたら、分かりやすいくらい二人の顔がポカンとした。
翔「パパ上手でしょ〜？」
すかさず二人に感想を求めるように言うと、結が顔を歪ませた。
結「こわぁい！」
翔「えっ！なんでっ！？犬だよ！？」
倖「ちがうよ、ようかいだよ！」
翔「えぇッ！？違うって、チワワだって！」
倖結「ようかいっ！」
翔「えーーーッ！！」
まさかの反応に大絶叫していると、焼きそばが盛られたお皿を両手に持った潤が「何？何？どーしたの？」て聞いてきた。
翔「潤、見てこれ！どっからどー見てもチワワでしょ！？」
潤「………」
潤が絵を凝視したまま黙り込んでいる。
潤「……チワワ……ではないかな(笑)」
翔「えーーーーーッ！！」
潤「この影がいけないんじゃない？」
翔「これ影じゃなくて毛だよ！」
潤「ええッ！」
俺の絵的センスが伝わらない。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
