誕生！我が家の天使たち�� ページ34
タクシーで病院に着いて、受付の人に「櫻井です！」と言うと、すぐに分娩室の方へ案内してくれた。
長い廊下を歩いて、やっと分娩室の扉が前方に見えたと思ったら。
「いてぇー！！いてぇー！！死ぬぅー！！」
なんだか凄まじい声が廊下にまで響いてきた。
どんなおぞましい光景が待っているかとドキドキしながら分娩室へ入ると、潤が今まさに分娩台で頑張っていた。
「櫻井さ〜ん、旦那さんが来ましたよ〜」
潤「はぁっ…はぁっ…」
すぐに潤のそばへ駆け寄った。
翔「潤っ…」
潤「はぁっ…はぁっ…しょお…くんっ…」
翔「間に合って良かった…頑張れ、潤！」
潤「はぁっ…はぁっ…発表…会はっ…」
翔「あ、うん…無事に成功しましたよ…？」
それ、今聞く！？
潤「はぁっ…はぁっ…もぉ、いてぇしヤダよぉ〜…(泣)」
翔「そうだよね、うん、分かる分かる」
ごめん、分かんないけど…
「はい、櫻井さん、もう一回息んで〜」
潤「んーーーッ！！！」
翔「いいよいいよ！頑張れ頑張れ、じゅーん！」
「旦那さん、ちょっと静かにしてね〜」
翔「あ、すいません…」
やっべ、怒られた！
「頭が見えてきましたからね〜」
その様子が見たくてチラチラッと覗きつつも、分娩台の手すりをギュッと掴む潤の手を、上からキュッと握った。
潤「ああーーッ！！しょーくーんッ！！」
翔「頑張れ、じゅーん！！」
潤の手を握りながら、潤と一緒に叫び。
どうか無事に生まれてくださいと願った。
やがて、一瞬周りの音が聞こえなくなり。
気が付いた時には、産声が二つ上がっていた。
「櫻井さ〜ん、赤ちゃん二人とも元気に生まれましたよ〜」
潤「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
俺の視界が霞んで見えなくなって、手で目を覆って下を向いた。
目を隠した俺の手のひらに、涙がたくさん零れ落ちた。
病室で横になる潤のそばに座って、キュッと手を握った。
翔「潤…お疲れ様。元気な赤ちゃんを産んでくれて、本当にありがとう」
潤「…フフッ…翔くん、さっき泣いてたでしょ」
翔「泣いてませんー」
すぐにフッと笑って、鞄からノートを取り出して開いて見せた。
翔「名前なんだけど、男の子が倖(こう)、女の子が結(ゆい)で…どうかな？」
潤「櫻井 倖と櫻井 結か…すごい良い名前だね」
我が家に可愛い天使たちが誕生した日。
すっかり暗くなった空には、キラキラと星が輝いていた。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
