誕生！我が家の天使たち�� ページ32
若干ふらふらとしながら、元いた場所へと戻ってくると、俺の様子に気付いた相葉が駆け寄ってきた。
相「先輩、どうしたんですかっ！？」
翔「…やばい、相葉。あと2時間くらいで分娩室に移動するって、今病院から連絡あった…」
相「えっ！」
翔「やっべ、どーしよ！潤が生まれちゃう！」
相「先輩、落ちついて！潤くんはもう生まれてるから！」
もう頭の中がパニックで訳わかめ。
翔「やっべ、やっべ、どーしよ！」
相「でっ、でもっ…もう始まっちゃうし…」
翔「ああもう、言うこと全部忘れて頭ん中空っぽだわ！」
さっきまで話す内容を整理していたものが全部吹き飛んで、頭の中が真っ白になっていた。
ガシガシと頭を掻いていると、相葉が俺の両肩をガシッと掴んだ。
相「先輩、落ちついて！こうなったらもう、やるしかないですよ！」
翔「ちょ、今それどころじゃねぇんだよ！」
相「俺には厳しいこと言ったくせにぃっ！(笑)」
翔「ああ〜もぉ〜〜出来る気がしねぇ！」
焦りとイライラで無駄に「ああ〜」と叫んでいると、相葉の俺の肩を掴む力が強くなった。
相「今ここに潤くんが居たら、何て言うと思いますっ？」
翔「・・・」
真剣な表情で俺を見る相葉。
潤が今ここに居たら・・・
「ちゃんとやって、翔くん！」て強く言うだろう。
潤は、俺が今日の発表会を成功させることを強く願っていた。
じゃあ俺が今、やるべきことは・・・
相葉と目を合わせて、無言でウンウンと何回か頷いた。
翔「…分かった。ちゃんとやる」
スーと深呼吸をして、心を落ち着かせた。
消えた内容が次々と頭の中へ戻ってくる。
相「先輩なら、絶対上手くやれますから」
翔「…だといいんだけど」
相「大丈夫ですよぉ！なんてったって俺の自慢の優秀な先輩なんですから！」
翔「相葉…」
相「頑張ってください。ね？パパっ♪ 」
相葉がニコッと笑った。
パパ…
その言葉を聞いて、俺の中のスイッチがカチッと入った。
翔「サンキュ、相葉。行ってくる」
相葉の顔を見ながら手探りでマイクを手に持ち、フッと笑ってみせた。
相「先輩！それ、マイクじゃなくてバナナっ！」
翔「えぇッ！」
誰だよ、ここにバナナ置いたヤツ！
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
