誕生！我が家の天使たち�� ページ30
そしてついに、出産予定日の2日前の夜。
翔「よし。準備オッケ」
たくさんの書類が入った分厚いファイルを入れたパンパンのビジネスバッグを、ポンポンと叩いた。
潤「明日頑張ってね、翔くん」
翔「頑張ります」
潤に向かってフッと笑ってみせて、重たい鞄を部屋の隅に置いた。
明日は会場を借りての、新しいプロジェクト発表会がある。
ウチの会社にとって、今年で一番の大きな仕事になるであろうプロジェクトの発表を、俺がやることになっている。
プロジェクトの内容や要点を全て頭の中へ叩き込み、入念なチェックと準備をしてあるから抜かりはないんだけども。
会社を背負って、トップ企業のお偉いさん達の前で発表するとなると、それなりに緊張する。
明日に備えて早めに寝ようと、夜の10時頃に潤と一緒に布団に入り、何もせずただ寄り添って眠った。
「…しょおくん」
突然聞こえてきた潤の声で、ふっと意識が覚めた。
翔「ん…潤、どうした…？」
潤「なんか…やばいかも」
翔「えっ」
少し苦しそうに言う潤の声に、思わず体を起こした。
翔「どうした…？お腹痛い？」
潤「う…ん…さっきから何回も痛くなったり、おさまったりしてるんだけど…段々、間隔が短くなってきてる…」
翔「もしかして…陣痛…？」
潤「…そうかも」
部屋の置き時計に目を向けると、夜中の3時半を過ぎたところだった。
翔「えっと、どうしよ…と、とりあえず病院に電話するから待ってね」
自分が焦ってはいけないと極力落ち着いた声で潤に言って、急いで電話をかけると「今すぐに来てください」という指示を出された。
翔「潤、今から病院に向かうから準備しよっか」
潤を支えながら起こし、こういう時の為に用意してあった楽で簡単な服に着替えさせた。
タクシー会社に電話もして。
10分以内に着くというタクシーの迎えに合わせて、俺も急いで準備を始めた。
いつ陣痛が来てもいいようにと、お産セットの入ったバックはもう用意してあるが。
あと何持ってけばいいの！？
急に頭の中がパニックになり始め、とりあえず適当に鞄の中に詰めていると、俺のスマホにタクシーの運転手から電話が入った。
着いたら連絡してくれと伝えてあった。
ソファに座っている潤を肩に掴まらせて立たせようとしたら。
潤の手がツルッと滑って、一緒にでーんとコケた。
潤「しょーくんの肩、滑るよぉー！！」
翔「なで肩でごめぇーん！！」
オイ、俺の肩！
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
