雨降って地固まる�� ページ27
翔「あっそ。そんなに大事なんだ？彼のこと。はいはい、分かりましたっ」
持っていた鞄をボンっと床に投げ捨てた。
潤「…なんでそんなに怒ってんの…？」
翔「さあね。キミ達の友情には敵わないからかな(笑)」
笑いながら嫌味をたっぷり込めて言うと、潤の口にキュッと力が入った。
潤「…なんだよ、翔くんなんて肝心な時に、そばにいてくれないくせにさっ…」
潤が震えた小さな声で言った。
潤「…大事な時っ…いっつも仕事ってさっ…旬はそんな時、俺のそばにいてくれたんだよっ…」
目をほんのりと赤くさせて言う潤の言葉に、俺の中の怒りスイッチが切れ、逆に戦意喪失するほどなんだか力が抜けた。
そして、段々と悲しくなってきた。
翔「潤さ…俺と結婚して後悔してる…？」
潤「えっ…」
翔「本当は小栗くんみたいな人と結婚すれば良かった…？」
潤「…なに言ってんの、翔くん…」
翔「俺じゃあ…潤を幸せには出来ない…？」
小栗くんに言われた言葉が、俺の胸に突き刺さったままだった。
小栗くんに言われて、心のどこかで不安に思っていたんだ。
潤「…なんでっ…なんで、そんなこと言うんだよっ…」
ついに潤の目から、ポロポロと涙が零れだした。
潤「…俺はっっ…翔くんと結婚して後悔したことなんて一度もないしっっ…翔くんと結婚して幸せだなって、ずっと思ってたのにっっ…」
興奮したように、肩がヒクヒクと震えだした。
翔「潤…」
潤「…それなのにっ…なんで、そんなこと言うんだよぉっ…！」
潤がソファに置いてあるクッションを俺に向かって投げた。
とっさに防御する俺の横を掠って飛んでいった。
翔「待って、潤…落ちついて」
潤「なんだよ、翔くんのバカっっ！」
もう一個のクッションも俺に向かって投げた。
今度は俺の正面に飛んできたクッションを、両手でバンッとキャッチした。
そのクッションを床に捨て、すぐに潤のそばへ寄った。
翔「ごめん…ごめん、潤…ごめんっ…頼むから落ちついて…興奮すると良くないから」
潤を包むように緩く抱きしめ、落ちつかせるように背中をポンポンとした。
翔「…ごめん、俺が悪かった。そうだよな…俺、最低なこと言ったね…本当にごめん…」
背中をポンポンとしながら謝ると、上下に動く潤の肩の動きが段々とゆっくりになっていった。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
