ラブ☆フォーエバー〔ＳＪ〕 (ページ16)

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後輩の家族が誕生した日③ ページ16

自分の革靴が正面に見えるほど頭を下げている俺の頭上から、フンッと鼻で笑うような声が聞こえた。

部「馬鹿馬鹿しい」

吐き捨てるように言う部長の言葉にカチンときて、少しだけ顔を上げてギッと部長を睨んだ。

部「何が大事な時だ。相葉が今抱えている仕事と、嫁の出産を病院でただ無駄に待つのと、どっちが大事なんだ」

翔「………」

部「そんなもの、相葉が行ったところでどうにもならないだろう」

翔「相葉は、立ち会い出産を希望しているんです」

部「そんなもの一番くだらない。どうせ何も出来ないんだから、病院に任せておけばいいんだ」

今にも爆発しそうな怒りに、グッと奥歯を噛み締めた。

くっそ…

融通のきかない頭の固い薄い頑固ジジイめ。

だから結婚出来ねぇんだよ。

部「そんなに行きたいなら、辞表を置いて行けばいい」

翔「は…？」

部「そんなものの為に会社を捨てる馬鹿なんて、ウチの会社には必要ない」

ガタンと椅子から立ち上がる部長を今にでも殴りかかりそうなほど頭にきていた。

だけど…

子供が生まれてこれから家族を養っていくって時に、今、相葉が仕事を失ってしまったら、一番辛いのは相葉自身だ。

それは自分にも言えることで…。

どんなに理不尽で悔しくても、会社の秩序には逆らえない。

くそっ…

部「分かったら、お前はとっとと商談に行く準備をして、相葉にはプレゼンの準備を万端にさせろ」

翔「………はい」

腹と喉の奥に力を入れ、悔しい気持ちをグッと飲み込んで、書類を手に持ちながら相葉の元へと戻った。

翔「…ごめん、相葉…ダメだった。俺が無力なばっかりに…」

相「そんなっ…！先輩が謝らないでくださいよっ！すみませんっ…俺のせいで先輩に迷惑かけてっ…」

翔「俺のことはいいよ。相葉、こうなったらプレゼンはお前がやるしかねぇよ」

相「どうしよ俺っ…こんな状態で頭真っ白でっ…先輩もいないなんてっ…」

相葉がもう半泣き状態になっている。

せめて俺がそばにいてやれたら、フォロー出来るのに…

オロオロと頭を抱えている相葉の両肩をグッと掴んだ。

翔「しっかりしろ、相葉。こういう時こそ、お前がしっかりしなきゃダメだろ」

相「でもっ…」

翔「父親になるんだろ。一家の大黒柱になるんだろ」

相「先輩っ…」

翔「和也くんが今頑張って自分の仕事をしてるんだから、お前も今自分の仕事をしっかりやらなきゃ。そうだろ？」

相葉の表情がふっと変わった。