後輩の家族が誕生した日�� ページ14
６月の中旬。
朝から雨が降っていて、部屋の中がジメジメとしている。
先に家を出る俺は、玄関で革靴を履き、俺を見送る潤の方へ振り返って、ポコっと出ているお腹をなでなでした。
翔「じゃあ、行ってくるよー」
お腹を撫でながら、お腹の中にいる2人の子供に言った。
潤「フフッ。行ってらっしゃい」
翔「今日ちょっと遅くなるかもしれないから、先にご飯食べててくれる？俺の分、用意しなくて大丈夫だから」
潤「そうなんだ？分かった」
翔「ごめんね？潤も無理しないようにね」
潤「うん、ありがとう」
玄関で微笑み合った後、潤が手を後ろで組んで、ほんの気持ち唇を突き出してきた。
俺はそれを見てフッと笑った後、左手を潤の首の後ろに回して軽くチュッとキスをした。
潤「行ってらっしゃい」
翔「行ってきます」
家を出てからの顔のニヤケが止まらない。
安定期に入ってようやく潤のつわりもおさまり、いよいよ潤のお腹が少しずつ大きくなってきた。
ここにダブルベイビーがいると思うだけで胸が踊る。
俺らのラブラブ度も増して、只今幸せ右肩上がり。
もう、なんでも頑張れそうだわ。
午前中の業務が終了し、お昼ご飯を食べ終わって食堂から戻ってきた俺は、自分のデスクで午後のプレゼンの資料を確認していた。
すると。
相「先輩っ！先輩っ！」
俺を呼ぶ相葉の声と、バタバタと走ってくる音が同時に聞こえ、何やら慌てているのがすぐに分かった。
翔「なに、騒いでんだよ。午後のプレゼンのこと？」
今日の3時から行われるプレゼンは、相葉がやることになっている。
いつもは俺がやることがほとんどだけど、今回は相葉が担当する仕事のプレゼンで。
しかも、ウチの会社にとって大きな仕事になるだろうと期待されていることから、ミスは絶対に許されない。
そのプレッシャーで切羽詰まっているのだと完全に思い込んでいた。
相「どうしよ、先輩っ！！今、かずくんから電話があって、陣痛が来たっぽいって！！」
翔「えっ！？だって、予定日来週末て言ってなかった！？」
相「そうなんですけど急に来てっ…今、病院に向かってるってっ…どうしよ先輩っ！！」
相葉の顔が顔面蒼白で、これはプレゼンどころではなさそうだ。
翔「落ち着いて相葉。分かった、分かった。俺がちょっと部長に言ってくるから、お前は椅子に座って心を落ち着かせて？」
相葉を自分の椅子に座らせ、急いで部長の元へ向かった。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
