あれから俺達は�� ページ1
【櫻井翔】
ベランダの窓から見える青空に、綿あめのような雲が浮かぶ3月下旬の土曜日。
レースのカーテンが揺れると共に、開いた窓の隙間から穏やかな風が流れ込んできた。
まだ新しい匂いのするこの家に、春の香りが広がった。
相「先輩っ！早くかき混ぜないとボソボソになっちゃうからっ！」
嘘、只今家の中はソースの香りで充満しております。
キッチンに立って、ボーっとリビングを眺めていたところを、相葉に注意された。
慌てて手元のフライパンの中の焼きそばを、菜箸でワサワサとかき混ぜた。
翔「あのね、相葉ちゃん。既にね、ボソボソなんですけどぉ」
相「大丈夫！大丈夫！食べれる！」
翔「つうか、手首がいてぇ…」
深めのフライパンマックスに入っている4人前の焼きそばと格闘し続けて、俺の右手首はもう限界寸前。
手首が取れそうな俺の隣で、相葉がせっせとまな板やら包丁を洗っている。
うん、手際がいいね。
て！
翔「違う、相葉！そっちのスポンジだよ！」
相「え？何が違うんですか？」
相葉が泡のついたピンクのスポンジを手に持ちながら、頭にハテナマークを付けてこっちを見る。
翔「ピンクは食器用。フライパンとか鍋とかの汚れが酷いやつは緑。まな板、包丁は青だよ」
相「えーそんなに細かく分けてるんですかっ！？」
翔「そうだよ」
ちなみに、その3つとは別に置いてある黄色のスポンジは、シンク・排水溝用ね。
相「こんなのどれで洗ったっていいじゃないですかっ！(笑)」
翔「ダメなんだよ。間違って使ったら、俺が潤に怒られんだよ」
相葉がスポンジを持ったまま爆笑する。
和「ねぇ、じゅんのすけがトイレから帰ってこないよ？」
キッチンでガヤガヤと騒がしい俺らに、リビングのソファに一人で座っている和也くんが声をかけてきた。
翔「あー…ソースの匂いがマズかったかなぁ。ちょ、見てくるから、相葉あとはよろしくね」
焼きそばは相葉に託して、急いでリビングを出た。
廊下の突き当たりのドアが少し開いている。
翔「じゅーん…大丈夫…？」
声をかけながらそっとトイレのドアを開くと、潤が膝をついて便器を抱えていた。
潤「う〜〜…きもちわりぃーよー…しょおくん…」
俺はすぐに潤の背中をさすった。
翔「あ〜…そうだよね、気持ち悪いよね、辛いよね」
潤に寄り添うように俺も膝をついて、ひたすら背中をさすった。
潤は只今、絶賛つわり中なんです。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2019年2月5日 16時
