ターゲットはすぐそばに�� ページ9
なんて、喜んでる場合じゃない。
そんなものはとっくに予想出来ていたことだ。
肝心なのは、将来的にそうなり兼ねない奴がいるのかどうか。
つまり、彼女がいるのか。
もしもそんな人がいるならば、告白以前に、俺は砕け散って灰になるだろう。
あー怖い…そんな結末。
もう平然ぶるのも忘れて、ソワソワと髪を撫でてみたり、うなじを掻いたりしていると、大野が何か聞きたそうな顔で俺の顔をジッと見てきた。
ニ「えっ…なに？」
大「今って彼女いる？」
ニ「えっ…いやっ…いないケド…」
大「ホント？」
ニ「そうだよ、悪いかよ！」
大「良かったぁ〜」
ニ「えっ」
大「ニノに彼女いなくて安心したぁ〜」
ニ「えっ…」
良かった…？
安心した…？
それってつまり…
大「今って、一人暮らし？」
ニ「あ、ああ…一応ね。狭いアパートだけど」
大「今日、ニノんち泊まっていい？」
ニ「えーっ‼‼」
どういうこと、どういうこと！？
急に何この展開！！
泊まるって嘘でしょ！？
ちょっと待ってね。
よくよく考えてみると…
俺に彼女がいなくて、良かった、安心したって…
えっ…そういうこと…？
俺のこと…？
もしかして…？
大野も同じ気持ちだった…？
そんで、大野も俺の気持ちに気付いてて…？
大野からの遠回しのアプローチ…？
今夜二人は結ばれる？
もう心の奥底から込み上げる気持ちが抑えきれなくなって、興奮気味に頭を何度も縦に振った。
ニ「いっ、いいよ！」
大「ホント？てか、しばらくニノんちに居ていい？」
ニ「おおおお、もちろんだよ！！当たり前じゃねーか！！来いよ！ウチ来いよ！！なっ？大野！！」
鼻息も荒めに快く返事をすると、大野がニコッと嬉しそうに笑った。
大「やったぁ〜これで宿泊代が浮くぅ〜！」
ニ「・・え？」
宿泊代？
大「今、色んなとこ転々としてるから家がなくてさぁ〜、毎日泊まるとこ探すの大変なんだよね〜」
・・あんだって？
大「ニノにもし彼女がいて、一緒に住んでるとかだったらさすがに悪いじゃん？ニノに彼女がいなくて良かったぁ〜」
・・おい、貴様。
大「んじゃ、しばらくよろしく〜♪」
そう言って俺に笑顔を見せる大野を、殴ってやりたいと思ったのは言うまでもない。
・・だけど、それでもコイツと一緒に過ごせるのなら構わない。
タダじゃ帰さねーからな。
絶対に俺のものにしてみせるよ。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年3月22日 16時
