パピヨン～青い蝶～ (ページ39)

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別れの言葉は・・① ページ39

結局眠りについたのは、空が明るくなり始めた頃だった。

それまでずっと、目を瞑っては大野の寝顔を見ての繰り返しだった。

眠りについた途端、夢を見たのも忘れるくらい熟睡した。

目よりも先に意識の方が覚め、徐々に薄っすらと目を開けていった。

視界に広がる自分の部屋。

そこに、大野の姿はなかった。

あれ？と思いながら体を起こしてみると、ミニテーブルの上に紙が置いてあった。

部屋の静けさに嫌な予感がして、慌ててベッドから降りて紙を手に取ると、そこには大野の字が書いてあった。

『ニノへ。ありがとう。そしてごめん。さようなら』

短い文章で、達筆で書いてあった。

嘘でしょ・・・

ニ「大野っ…！！」

急いで家中を探し回るも、大野の姿はない。

大野のスーツケースも見当たらない。

あるのは、キレイに畳まれた俺の貸していた部屋着だけ。

きちんと畳んでソファに置いてあった。

そしてその上に、合鍵も乗っていた。

それを見て愕然とした。

嘘でしょ・・大野っ・・

ガクッと膝をついたまま、部屋の置き時計に目を向けた。

8:05。

俺が寝坊したわけじゃない。

大野が先に出ていったんだ。

俺が目を覚ます前にそっと起きて、何も言わずに一人で出ていったんだ。

なんでだよっ・・！

俺は急いで携帯を手に取ると、すぐに相葉に電話を掛けた。

相「もしもしー？」

ニ「あっ、相葉っ！大変だよっ！」

相「えっ！どうしたのっ！？」

ニ「大野がもういないんだよっ！」

相「えっ！」

ニ「あいつッ、一人で先に出てったんだよぉ！」

相「なんでぇ！？」

ニ「知らないよっ！起きたらもうっ…いなくなってたっ…！置き手紙だけ残してさっ…」

相「そんなぁ…」

ニ「俺っ…まだあいつに気持ち伝えてないのにさっ…ふざけんなよぉ…」

今日空港で見送る時に、俺の気持ちを伝えようと思っていたんだ。

好きだって言おうと思ってたのにっ…

相「ニノ！諦めたらそこで試合終了だよ！」

相葉が突然、某アニメの有名なセリフを言ってきた。

ニ「そんなこと言われたってっ…」

相「俺、今からそっち向かうから準備して待ってて！」

俺が答える前に電話は切れた。