パピヨン～青い蝶～ (ページ31)

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ワンモアチャンス③ ページ31

翌日、大野はリハーサルの為に早くから家を出ていった。

今日は日曜日。明日は祝日だ。

大野がウチに住み始めてから1週間。

毎日、大野のことを考えて過ごしてきた気がする。

ドキドキしたり、空回りしたり、振り回されたり。

笑ったり、喜んだり、怒ったり、悲しんだり。

たった一人の人間の影響で、色のない生活が鮮やかに染まっていった。

大野がオーディションに行けなかった日。

俺は大野のそばにいない方が良かったのかと考えたりもした。

だけど、今の自分に出来ることは、大野を全力で応援し、そばで支えることなんだって思った。

一度は逃してしまったチャンス。

だけど、頑張っている人のところには、必ずチャンスが巡ってくるって俺は信じている。

だから、大野がもう一度チャンスを掴むまで、そばで応援し続けようと決めたんだ。

いつか、笑っておめでとうと言える日が来るまで。

夕方までゲームをしたり、新作をなんとなく考えていると、ピコンとLINEの音が鳴った。

すぐに確認してみると相葉で、「今日、飲みに行かない？」という誘いだった。

大野は何時に帰ってくるか分からないて言っていたし、正直ひとりぼっちが寂しくて、相葉と飲みに行くことにした。

相葉の仕事終わりの時間に合わせて駅で待ち合わせをし、居酒屋へ入った。

いつもは話を聞いていることの方が多い俺が、今日は酒が入った途端、ベラベラと相葉に自分の話をし続けた。

ニ「そんでさー、前日に食べた寿司があたっちゃってさ、大野がオーディションに行くって時に倒れちゃってさぁ」

相「あ～あ(笑)ニノ、昔から生もの苦手だったよね？」

ニ「そうなんだよ。なのに俺、何やってんだろうね。大野の大事な日を、そんなくだらない理由で台無しにしちゃってさ」

相「しょうがないよ！縁がなかったんだって」

ニ「そんなことないよ。行ってたら絶対に受かってたね」

相「分かんないけど～、とりあえず明日舞台に出ることになったんだからいいじゃん！ね？」

ニ「明日は俺が倒れようが死のうが、何が何でも行ってもらうよ」

相「死のうがって(笑)ニノ、そんなに大ちゃんのこと応援してんだね」

ニ「そりゃそうですよ」

相「ねぇ、ニノってさぁ」

ニ「なによ」

話し続けてカラカラになった喉を潤そうと、ジョッキのビールを口に運ぶと

相「大ちゃんのこと好きでしょ」

突然の相葉の言葉に、口の中のビールが豪快に吹き出した。