パピヨン～青い蝶～ (ページ28)

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ごめんなさい・・③ ページ28

今の大野の言葉。

それはつまり、オーディションよりも俺の方が大事だったってこと…？

…なんて、自惚れんなよ。

そりゃあ、友達が目の前で倒れて死にそうになってたから、誰だって怖いし、オーディションどころじゃなくなるよね。

相手が俺じゃなくたって同じ。

やっぱり、大野がオーディションに行けなかったのは俺のせいだ。

俺が大野の足を止めてしまったんだ。

一気に襲い掛かる罪悪感。

自分の軽はずみな行動に悔やんでも悔やみきれなくて、両手で頭を抱えた。

ニ「…ごめん。大野…」

大「ニノ…」

ニ「ホントにごめんっ…ごめんなさいっ…」

大「ニノ！」

何度謝ったって状況は変わりやしない。

本当は「ごめん」よりも、「ありがとう」て言わなきゃいけないのに。

謝罪の言葉しか出てこない。

大「ニノ、気にすんなって。オーディションなんて、また受ければいいじゃん？」

ニ「だってっ…せっかくのチャンスだったのにさっ…」

大「俺、別にバックダンサーが夢なわけじゃないし(笑)」

ニ「それでも、夢に近づくチャンスだったじゃんっ…！！」

大「分かんないよ？この間は、たまたま通過したけど、今日で落ちてたかもしんないし」

ニ「あんたなら受かってたよっ…！！」

俺には分かる。

一次審査を通過したのは、たまたまじゃない。

初めて俺があんたのダンスを見た時のように、審査員もきっと、あんたのダンスに釘付けだったに違いない。

今回もきっと、審査員の心を掴んでいたに違いない。

それなのに・・

大野が踏み出そうとしていた夢への階段を、俺が崩してしまったんだ。

本気で応援したいと思っていて、そばで支えたいと思っていたのに。

自分が大野の夢を邪魔してどうすんだよっ…

情けなくて、自己嫌悪に陥った俺は、ベッドに体を倒して頭まで布団をかぶった。

大「ニノ…」

ニ「…悪いけどさ、喉渇いちゃったから、自販機で水買ってきてもらえないかな…？」

大「…分かった」

大野が静かに部屋を出ていった後、布団の中に篭る俺の顔が湿気を帯びてきた。

自分の息で顔が熱い。

悔しい気持ちが目から溢れ出す。

大野が帰ってくる前に拭わなきゃ…

止まらない感情に布団が濡れていく。

ねぇ…誰か教えてほしい。

俺は、大野のそばにいない方が良かったの・・？