パピヨン～青い蝶～ (ページ21)

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おおのが好き…① ページ21

相葉と別れて、電車で最寄りの駅まで帰ってくると、チラホラとしか人が歩いていない道を、ほんの少し早足で歩いた。

夜だけど、寒くも暑くもない丁度いい気温。

空を見上げると、僅かに星の光が見えた。

明日も晴れかな。

鼻で思いきり空気を吸うと、春の匂いがした。

いつもよりも数分早めに家の前まで辿り着くと、アパートの二階の自分の家の窓から光が漏れていた。

あれっ・・

大野の方が先に帰ってきてたんだ・・

自分の家に灯りが点いているのを見て、急いで階段を駆け上がった。

自分が帰ってきた時に家の灯りが点いていたことなんて最近なかったから、なんだか嬉しかった。

ガチャガチャと騒がしく鍵を開けて、勢いよくドアを開けると、玄関に大野の運動靴が置いてあった。

ニ「…ただいま」

今までの騒がしさから一転して、急に小さな声で言うと

大「あ。ニノ、おかえりぃ」

ひょこひょこと、スウェット姿の大野が出迎えてくれた。

それが、凄く嬉しかった。

ニ「先、帰ってたんだ？」

大「うん。さっき帰ってきたばっかだけど」

ニ「ごめん…仕事帰りに、すんごい久しぶりの友達に会ってさ？ちょっとだけ飲んできちゃった…」

大「あ、そうなんだ？楽しかった？」

ニ「あ、うん、楽しかった…て、それよりもっ！！」

靴を脱いで上がりながら話していたところを中断させると、大野が「ほえ？」て感じの顔で俺を見た。

ニ「オーディションどうだった…？」

大「あぁ。んふふっ」

大野がふにゃんと笑った。

大「受かった！」

ニ「え！ほ、ほんとに！？」

大「うん。次は3日後に、二次審査だぁ～」

ニ「やったああああああ！！！」

結果に大興奮して、二人でぴょんびょん飛び跳ねながらハイタッチをして、その勢いでハグを交わした。

一次審査を通過したことが、自分のことのように嬉しかった。

ニ「良かった良かった！大野なら絶対イケると思ったよ！」

大「ふふっ、ありがと」

ニ「次も頑張ってよ！」

大「おぅっ！」

お互いにニッコリと微笑み合った。

こんな風に、一緒に喜び合ったり、相手の夢を応援出来ることが嬉しかった。

本当に大切な相手でないと、心から喜んだり応援したりなんて出来ない。

改めて、大野が自分にとって大切な存在であることが分かった。

このままずっと、貴方の隣で夢を応援し続けたい。

そんな気持ちを込めて、ギュウと強く抱きしめた。