幸せなひととき�� ページ17
いまだに興奮冷めやらぬ状態で薄暗い天井を見上げていると、大野がもぞもぞと寝返りを打って、俺の方に体を向けた。
その瞬間、近距離で大野と目が合った。
大「俺のせいで寝れなくなっちゃった？」
ニ「…別にそんなんじゃないよ…」
とか言いながら、完全に目がキンキンに冴えている俺。
大「急に居座ったりしてごめん。やっぱ迷惑だよね」
大野が突然謝ってくるんもんだから、ほんの少しだけ体を傾けて、大野に背を向けた。
ニ「…別に迷惑なんかじゃないから」
大「明日のオーディションが終わったら、出てくよ」
ニ「えっ」
大野の言葉で、勢いよく体を返して、大野の方を見た。
ニ「出てくって…これからどうすんの…？」
大「んー、今までみたいに色んなとこ転々とすっかな」
ニ「じゃ、じゃあ急いで出ていくことないだろ！」
大「でも迷惑だし」
ニ「今更何言ってんだよ！俺、迷惑なんて一言も言ってないじゃん！」
大「でも」
ニ「待ってよ！ちなみに明日のオーディションに合格したら、どうなんの？」
大「3日後に二次審査がある。それに受かったら、このまま東京で活動することになるかな」
ニ「じゃあ…落ちたら？」
大「また何か探す」
ニ「じゃあ…ウチにいればいいじゃん。どっちにしろ、まだ東京から出ていく予定はないんでしょ」
大「んでも、そしたらニノが」
ニ「俺のことはいいってば！いいじゃん、居ろよ！」
大「ホントにいいの？」
ニ「いいって言ってんだろ！」
大「じゃあ・・そうする」
そう言って大野が、ふにゃんと笑った。
薄暗い中でも、大野の嬉しそうな顔がハッキリと見えた。
ニ「とりあえずさ…明日のオーディション頑張ってよ」
大「頑張る！」
ニ「大野なら、きっと受かると思うよ。実はさ、あんたに再会した日、あんたのダンス見てすげー感動したんだよね・・て、あれ」
大「すぅすぅ…」
ニ「………」
おい、もう寝てんのかよ。
いくらなんでも早すぎやしませんか。
早寝大会ぶっちぎりの優勝だよ。
・・疲れてたのかな。
朝から晩まで、きっと一生懸命練習してたんだろうね。
大野ならきっと受かるよ。
俺の目に狂いはないはず。
ニ「…おやすみ」
子供のような無邪気な顔で寝る大野に向かって囁いた。
この寝顔を、まだもう少し見ていられるんだね…
ああ…幸せだな。
好きな人の寝顔が隣にあることが、こんなにも幸せなことなんだって初めて知った。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年3月22日 16時
