幸せなひととき�� ページ15
夜の12時過ぎ頃。
ベッドに横になって、あくびをしながら試作品のDSのゲームをしていたら、カチャリと静かに鍵を開ける音が聞こえた。
大野が、俺が渡した合鍵で、俺を起こさないようにと静かに入ってきたのだろう。
俺はとっさにパタンとDSを閉じて、顔を伏せて寝たフリをした。
大野の静かな足音が近づいてきたと同時に、うーん…と目をこすりながら、起きちゃった演技をしてみせた。
大「あっ、ごめん。起こしちゃった？」
ニ「うーん…ちょっとウトウトしちゃってただけ。おかえり」
大「ただいま」
ニ「お風呂沸いてるよ。入ったら？」
大「やったぁ〜入るぅ〜！」
ニ「入っておいで」
今度はちゃんとタオルを渡してあげると、お風呂がよっぽど嬉しかったのか、大野がぴょんぴょんと飛び跳ねた。
ニ「コラ、夜中に飛び跳ねんなよ！ここニ階なんだからな！近所迷惑だろーが！」
イケね！て感じで最後の着地をした瞬間、振動でベッドの端に置いてあったDSが滑り落ちて、ぱかっと開いてしまった。
小音量のゲームの音が部屋に流れる。
大「ゲームしてたの？」
ニ「あー…いや、ゲームしながら、いつの間にか寝ちゃってたみたい。付けっ放しにしちゃった」
大「ふうん、そっか」
カチッとDSの電源を切ると、大野が突然、俺の頭を撫でてきた。
ニ「なっ、なんだよいきなりっ…！」
大「お子様は先寝てな？」
ニ「お子様じゃねーよ！あんたとタメだろーが！」
大「んじゃ、入ってくる」
そう言って風呂場へ向かう大野の顔が、なんだか少し微笑んでいるように見えた。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年3月22日 16時
