パピヨン～青い蝶～ (ページ13)

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掴めない男④ ページ13

しばらくしてから、俺の部屋着を纏って、バスタオルで頭を拭きながら大野が戻ってきた。

大「あースッキリした」

ニ「あそうですか…」

大「ニノも浴びてきたら？」

ニ「そうですね…」

ワイルドに髪を拭く大野の顔はあまり見ないようにして、サササッと逃げるように浴室へ向かった。

頭からシャワーのお湯を浴びながら、ペチペチと自分の頬を両手で叩いた。

こんなことくらいでドギマギしていたら、告白なんて永遠に出来やしない。

その先なんて、夢のまた夢。

しっかりしろ、自分。

せっかくのチャンスを無駄にする気かよ。

こうやって、偶然にも俺の前に舞い降りたんだから、絶対に逃がしてたまるか！

早めにシャワーを浴び終えて、髪もドライヤーで半乾きの状態で、着古したジャージを履いて部屋へ戻った。

あれ・・大野がいない・・

と思って、キョロキョロと部屋を見回したら、ベッドの布団の上で寝ていた。

マージーかーよぉーーーー‼‼‼

空回りしまくりの自分に虚しくなる。

はぁ…

今日はもう諦めよう…。

ガックリと肩を落として、付けっ放しのテレビを消した。

一気に静まる部屋。

大野の、すぅすぅと静かな寝息だけが聞こえてくる。

気持ち良さそうに眠っちゃって…

そっとベッドの前に膝をついて、大野の寝顔を見つめた。

無邪気な寝顔は、あの頃と変わっていない。

雑に拭かれて乱れている金髪に、そっと触れた。

さっきまでツンツンにおっ立てていた金髪が、ふんわりと柔らかくなっている。

スーと指先でといて、手を離した。

このままずっと、ここに居て欲しい…

愛しい人の寝顔を見つめながら、密かに願った。

下敷きになっている布団を引っ張って大野に掛けてあげると、俺は電気を消して、ぺちゃんこのソファの上で眠った。