存在意義 ~Future~ ページ31
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〜Miyata Side〜
街に出れば、その空気が自分に馴染まなくて。
街に出れば、その日差しに刺されてしまいそうで。
街に出れば、自分が自分じゃないような気がして。
街に出れば、自分がこの世界に居てはいけないんだと、直感で感じていた。
「ねぇ、あの話本当なの……?」
「キ ス マ イのあのヲタクの人が死んだって……」
「嘘でしょ……」
いつもただの雑音にしか聞こえない周囲の会話も、
聞きたく無いときに限って鮮明に聞こえてしまう。
……未来の『俺』が亡くなった後の世界に来て、まだ三時間ほどしか経っていない。
しかし、その世界は『俺』が亡くなって約1日経った世界で、周りは『俺』の話題で持ちきりとなっていた。
凪さんが言うには、葬式は午後の二時から三時に行われる様で、玉も京都に行く前に葬式に参加するらしい。
(その後に…玉は……)
考えただけでも身震いしてしまいそうだ。
だからこそ、俺は玉を止めなくちゃいけないんだ。
「……くん、俊くん」
「……」
「俊くん!」
「ふおわっ!?」
「驚きすぎでしょ」
凪さんは苦笑して俺に清涼飲料水を手渡した。
「あざっす」
俺はそれを受け取ると、キャップを開けてそれを半分近く一気飲みした。
「ん、大丈夫だった?」
「まぁ、大丈夫かな……」
「そう……」
凪さんは俺の隣に座ると、小さな欠伸をしていた。
「凪さん、場所変えない?あんまり人が多いと……」
俺がマスクを指すと、凪さんは「あっ、そっか」と納得したように言った。
「それじゃあ、時間まで私のお店に行こうか。近いし、そこなら人目を気にしないでいられるし」
「うん……ありがとう、凪さん」
変装を終えてから、外に出たいと言ったのは俺だけど……
やっぱり外に居ると息苦しく感じてしまう。
「いいの、いいの。それに、時間的にもお腹すいてきたでしょ?うちで何か作るよ」
そういって彼女は微笑んでくれた。
……きっと凪さんも苦しんでいるに違いないのに。
(凪さんの知っている『俺』は俺じゃないんだ)
それなのに、俺の手助けをしてくれるのだから、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
「ねぇ、何が食べたい?」
「ん……それじゃあ」
だから、ここにいる間は、
「ミートパスタでお願いします」
俺が『俺』として振る舞うから……。
「ほんとに…俊くんなんだね」
今は気丈に振る舞わないで……。
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☆ゆうじゅん☆(プロフ) - mizuki1031さん» お返事が遅くなって失礼しました!宮田くんには色々と苦しい思いをさせてしまいましたが、個人的にはいい終わり方をしたと思っています。続編ですが、パス付でないものがございますのでお手数ですがそちらを見ていただけると幸いです。よろしくお願いします! (2018年6月23日 9時) (レス) id: d317b5e1a0 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆうじゅん☆(プロフ) - ヒロさん» お返事が遅くなってしまい、大変失礼しました。面白いと言っていただいてとても嬉しいです。続編ですが、パス付で無いものがあり、完結しております。お手数ですがそちらを見ていただけると嬉しいです。よろしくお願い致します! (2018年6月23日 9時) (レス) id: d317b5e1a0 (このIDを非表示/違反報告)
mizuki1031(プロフ) - この話とても好きです!宮田さんが皆を救うために自分を犠牲にしちゃうのは何とも切なくなっちゃいましたこんな凄いお話が作れるなんて凄いです!続きがきになったのでパスワードのヒントだけでもいいので教えていただきたいなって思いました! (2018年6月9日 22時) (レス) id: 71f0953bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ - パスワード付きのは見れませんでしたが見れないなら諦めます。自分はこの話好きです。主さんよく思いつきましたね♪
また新しいのがあれば楽しみにしてます♪ (2018年1月18日 17時) (携帯から) (レス) id: 3157760d2b (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ - 何か気になりますね〜楽しみにです (2018年1月18日 0時) (携帯から) (レス) id: 3157760d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆ゆうじゅん☆ | 作成日時:2014年8月17日 21時