45 ページ45
side:Kyohei
カタン。
鍵のかかっていない玄関は空しく音を立てて開く。
下の階は薄暗くて階段の上を見上げると、部屋の明かりが玄関に少し零れていた。
道『…恭平っ！』
俺が帰ってきたのに気づいて道枝と長尾が階段の上から顔を覗かせる。
一気に、身体の力が抜けた気がした。
長『流星くんは…？』
長尾の問いかけには答えずに、いつもなら脱ぎっぱなしの靴を揃えて階段の昇る。
恭『明日、流星の友達が迎えに行ってくれるって』
"天橋立"
京都の上の方。ここから約三時間くらいかかるその場所に、流星はいるらしかった。
大吾くんは一緒に明日の始発で迎えに行こうって言うてくれたけど、
それには頷かずに帰ってきた。
道『どういうこと？』
恭『もう終電ないから、明日』
道『そうじゃなくて！なんで恭平が行かへんの、って！！』
恭『それは、…今会いたいのは俺らじゃない気がして』
道『はぁ！？』
長『みっちー、落ち着いて』
流星は俺らとの連絡手段のスマホを置いて、あの真っ赤な古い携帯を握りしめて出ていった。
それに、大吾くんと大橋くんと正門くんの姿を見ていたら、なんだか俺とは違う世界にいるような気がして、俺やって当事者のはずやのに蚊帳の外な気がして、
恭『流星は今、昔に行こうとしてる気がして、』
道『それやったら余計こっちに引っ張ってあげんと！』
恭『うん。やけどさ、やけど、流星にはあの人らもやっぱ大事やねん』
0109。
そのナンバーも俺らじゃ絶対わかる筈なくて、それはきっと大吾くんらに向けたメッセージで。
それは、いい。
誰を頼ったっていい。元々大吾くんらと関わることやって賛成やし、大事なものを急に大事じゃなくすことの方が反対で、やけど、流星が自分で会わないって決めたんならそれを支えたいのも本当で。
過ごした1年は楽しかったし、嘘じゃないし、やけど、
恭『…今までも、見落としてたんかなぁ、』
俺が気づかなかっただけで、傍にいるのが別の人やったら気づけたSOSがこの1年何回もあったんじゃないかって、それがどうしようもなく腹立たしくて、情けなくて、
長『恭平くんは、優しいんやね』
道『はぁ、しょがないなぁ』
申し訳なくて、どうしようもなさすぎて、
迎えに行くこともできずに帰ってきてしまった。
道『とりあえず！海の計画たてよ！もうすぐやねんし！』
やけど、俺もこうやって救われてる。
やからきっと、あの人らが行けば流星やって救われると思うから。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関西ジャニーズJr」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゆ(プロフ) - えりなさん» こんばんは！いつもコメントありがとうございます！内容がオリジナルなのでわかりにくい所も多いと思いますが読んで頂けたら嬉しいです(*¨*) (2018年10月27日 0時) (
レス) id: d82cf62acc (このIDを非表示/違反報告)
えりな - 素敵な物語ありがとうございます涙こちらの方も読ませて頂きますね(*^^*) (2018年10月26日 15時) (レス) id: ca05f7c3fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゆ | 作成日時：2018年10月12日 23時
