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何個か大学の名前が書き込まれた進路調査書を恭平の机に置きながら、思い出すのは高校一覧を一緒に必死で覗いた大ちゃんの姿。
鞄を置いて、深呼吸。
『.....、』
勉強机の左の引き出しの一番左奥。
そこから引っ張り出したのは真っ赤な折りたたみの、あの日大ちゃんから返された携帯電話。
結局あの日受け取って、中を見返すこともなく、1度捨てようとして恭平に止められた携帯電話の電源ボタンを初めて押した。
『...着いちゃった、』
壊れて電源が入らなかったらいいのにって思ったけど、すんなりと電源がつく。
待受画面には今使ってるスマホとは比べ物にならない位画質の荒い青空の写真。
『水色の、空の写真、』
この写真をうんとうんとうーんと綺麗にしたら、
あの日大ちゃんが見せてくれた写真になる気がする。
やけど思い出せない。
これはいつ撮った写真...？
カメラロールを開くと上の方は撮った覚えのない風景の写真。下に行くと学校の写真とか、寄り道したお店の写真とか撮った記憶がある写真がたくさん。
『これ、どこの写真やっけ、』
綺麗なひまわり。海、草原。
山の中の夜空。
その中に嬉しそうに笑う大ちゃんと、眠っている大ちゃんを隠し撮りしたと思われる写真がまざっていた。
人が映っているのはこの2枚だけ。
『.....、大ちゃん、』
しばらくその写真を眺めたあと、メールの画面を開く。
何か、この場所がわかるようなやり取りがあるかもって思って、
『っ、.....大ちゃん、』
"明日の朝5時にいつもの公園で"
6年前の8月8日、僕は大ちゃんと家出した。
今思ったらよくあんな思い切ったことが出来たなって思うけど、あの時はそれが全てで。
どこに行ったかは思い出せた、けど、その後なんで5年も眠ったのか思い出せない。
大ちゃんは自分のせいって言ってたけど...
『.....、今何時や』
時計を見ると19時45分をさしていた。
スマホを開いて電車の時間を調べる。
『終電、ギリある』
その時間をガラケーのメモに打ち込んで、
お出かけ用の鞄に突っ込んだ。
財布と、定期と、...他はええか。
『.....、恭平、ごめん』
行くなら今しかない。
あの日帰ってきてすぐ携帯の電源を入れなかったのは、きっとこのタイミングを待っていたんやと思う。
お父さんもお母さんも恭平もいないこのタイミングを。きっと見てしまったら飛び出してしまうから。
やからーーー、
『いってきます』
＊
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ちゆ(プロフ) - えりなさん» こんばんは！いつもコメントありがとうございます！内容がオリジナルなのでわかりにくい所も多いと思いますが読んで頂けたら嬉しいです(*¨*) (2018年10月27日 0時) (
レス) id: d82cf62acc (このIDを非表示/違反報告)
えりな - 素敵な物語ありがとうございます涙こちらの方も読ませて頂きますね(*^^*) (2018年10月26日 15時) (レス) id: ca05f7c3fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゆ | 作成日時：2018年10月12日 23時
