27 ページ27
side:D
バイトを終えて携帯を見たら、知らない番号からの着信が入ってた。
多分、いや、絶対これはおおにっちゃんのーー、
そう思うと手が震えた。
和『大ちゃん、どしたん？』
いつもの如く俺のバイトが終わるまで時間を潰してたはっすんが怪訝そうにこちらを見る。
「...、や、なんでもない」
和『そう？』
「おん」
沈黙。
いつもなら勝手にペラペラ喋るはっすんが多分俺の感じが違うから、ただぼーっと前を見て隣を歩いている。
「や、っぱり」
和『うん』
「今日はなしでもいい？」
和『うん！てか何するかも決まってないしなー』
「うん、ごめん」
和『ええよ！』
「じゃあ、」
どうして、とも
どこ行くの、とも聞かれない。
5年前もそうやった。
はっすんも、正門も、廉も、
和『あ、大ちゃん！』
「何？」
和『バイトお疲れ！』
「ありがと」
なんでか嬉しそうに笑うんや。
だから、俺が選んだことが間違ってたとしてもそれでいいんやっておもわせてくれる。
少し足早にはっすんとわかれて歩く。
別に目的地はないけれど、じっとしたまま電話出来る気がしなくて。
緊張しながらも、少し罪悪感がありながらも、見知らぬ番号に向けて電話を鳴らした。
コール音数回、
『、もしもし...？』
例え電子音でいつもと声が違っても、
「もしもし、おおにっちゃん...？」
すぐに君やとわかる。
俺の心を揺らす声。
『うん、携帯ついさっき買ってん』
「そか。赤やろ？」
『え...？』
「携帯の色、赤やないの？」
『ふふ、うん。赤』
家の引き出しの中にしまった真っ赤な折りたたみ携帯を思い出しながら、俺は5年前と今の狭間にいる。
もうすっかりあの頃と比べたら大人になったのに、おおにっちゃんと話すと自分がまだ高校生の様な気分になる。
「おおにっちゃん」
『うん？』
「次いつ会う...？」
『...！』
好きな人と話すのって、そうや、こんなに緊張するもんなんや。
塾でおおにっちゃんに声をかけた時、心臓を吐き出したいくらい緊張した。
『ええの？』
「チェックの制服版流星、見たいから」
『版って...フィギュアちゃうねんから』
「あー、いいな。飾っておきた...」
『大ちゃん』
「ハイ」
おおにっちゃんは知らんやろうけど、
俺はおおにっちゃんと"出逢う"のに2年もかかってんで...？
おおにっちゃんは知らんやろうけどーーーー。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゆ(プロフ) - えりなさん» こんばんは！いつもコメントありがとうございます！内容がオリジナルなのでわかりにくい所も多いと思いますが読んで頂けたら嬉しいです(*¨*) (2018年10月27日 0時) (
レス) id: d82cf62acc (このIDを非表示/違反報告)
えりな - 素敵な物語ありがとうございます涙こちらの方も読ませて頂きますね(*^^*) (2018年10月26日 15時) (レス) id: ca05f7c3fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゆ | 作成日時：2018年10月12日 23時
