34.5話前編 ページ42
きっと彼女は思ったままを自分に伝えてくれてるだけだ。
自分が彼女を意識し過ぎているんだ。
こうやって笑いかけてくれるだけで、自分だけのものにしたいと思ってしまう。
このまま彼女と…
「二階堂くん？おーい！」
二階堂「あっ」
僕の目の前で手を振り、意識が飛んでしまってる自分を呼び戻そうとしている。
「今日の二階堂くんはいつもよりぼんやりしてるね。疲れちゃった？」
二階堂「いえ、そうじゃないです」
「…ちゃんと栄養摂ってる？またゼリーばっかり飲んでないよね？」
村神さんにはお見通しのようだ。
この間、彼女が手塚さんの所で作ってくれた鍋以来たいしたものを口にしていない。
「黙ってるって事は図星でしょ。…私注意したよね？」
二階堂「はい…」
「…じゃあ、何か作ったら食べてくれる？」
思いもしないチャンスがきた。
これでまだ彼女と一緒に居られる口実が出来た。
二階堂「はい」
「いいの？」
自分で聞いておきながら、僕がOKを出すと驚いてる。無理も無いか…少し前までは他人のモノを口にしたくなかったのに彼女のなら食べたいと思えるようになったのだから。
二階堂「材料無いですけど…」
「そんなの私買ってくるよ！嬉しいな…。誰かの為に作って一緒に食べれるのって」
村神さんはすごい笑顔を向けてくる。
つられて僕まで笑ってしまう。
何故だか彼女の笑顔は周りに影響する気がする。
「それに、最近の二階堂くんは笑ってくれるようになったし嬉しい。仲良くなれてるって……なんて勝手に思っちゃってるんだけど？」
二階堂「僕達が…仲良い……」
駄目だ。
そんな事言われるとニヤけてしまう。
顔を逸らして落ち着きを取り戻そうとする。
「あ、嫌だった？ごめんね？私すぐに調子乗るよね？ごめんなさい」
二階堂「ちがっ！そんな事は…ないです。僕も…その…嬉しいです」
どんどんと語尾が小さくなってしまうけど、精一杯伝えた。
聴き取ってもらえただろうか…。
「…ありがとう」
彼女は照れてるようで、頬を少し赤くしていた。
その表情…すごく……可愛い。
いや、その、可愛いって小動物に感じるようなとか…そんな感じで！
……誰に言い訳してるんだろう。
手塚さんに気づかされたじゃないか。
これはもう恋なんだ。
彼女が愛しいんだ。
不器用で臆病な自分の初恋だから…。
叶うはずないものだとわかっているけど。
止められないこの気持ちはまだ捨てたくない。
もう少し、この気持ち味わっていたい。
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紫(プロフ) - 指摘ありがとうございます。読み返してチェックするのですが、やはり見落としがありますね。こうして報告してくれて助かりました。訂正しました。ご不快にさせてしまい申し訳ございません。 (2019年8月10日 7時) (
レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 31.5話、「小野」ではなく、「尾野」です。 (2019年8月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 15話に誤字がありました。「佐野って人をは」ではなく、「佐野って人は」です。 (2019年8月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます！二階堂くん可愛く表現出来てますかね？素敵なんて照れます…(*´ω｀*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年8月1日 23時) (レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - 凄く面白いです！二階堂くんが可愛い！文章力がとてもあって素敵です！これからも応援してます！ (2019年7月31日 21時) (レス) id: 7740be45b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2019年7月13日 19時
