33話 ページ40
思考が止まった。
二階堂が見つめる先にはAが抱きしめられている姿だった。
腹の底からモヤモヤが広まり、鼓動が痛い程全身で感じている。
(この感情がわからない)
自分の存在に気づくはずもなく、Aはそのまま自宅へと入って行った。
それを追える程の気力は残っておらず、二階堂は来た道を引き返した。
あれから数日間が経ち思い出すのはあの光景。
二階堂は嫉妬に駆られている事に気づかず、独り思い悩んでいた。
いつもと変わらず大学へと行き、ぼんやりとAの事を考え込んでいると後ろから自分の名を呼ぶ高い声が聴こえた。
黒島「二階堂さん」
小走りで駆け寄ってくる彼女に答える間もなくあちらから話を進めてきた。
黒島「もう帰ります？一緒に帰りませんか？」
二階堂「…構いませんが」
歯切りの悪い答えをした二階堂に疑問に思った黒島は問いかけた。
黒島「何ですか？」
二階堂「途中で話題に詰まって、妙な沈黙になるのも苦手なので最初から何も話さないという約束なら…」
黒島「は、はい…。じゃあ…これで帰りましょう」
黒島は人差し指を口元で立てると二階堂も同じジェスチャーをして頷いた。
そして二階堂は彼女の先を歩いた。
しばらくすると、二階堂の前に数日自分が悩んでいた原因の彼女がゆっくりと歩いていた。
それなのに思わず二階堂はAの名を呼んだ。
二階堂「村神さん！」
Aは呼ばれて声のする方へ振り向くと、その人物が良く知る者だとわかりすぐに笑顔で立ち止まった。
「二階堂くん、こんにちは」
自分でも咄嗟に声をかけてしまい、困惑してしまったが彼女が笑顔で応えてくれた為ホッとしてしまう。
二階堂「こんにちは…」
「…黒島さん？黒島さんもこんにちは。じゃあ2人が一緒って事は大学の帰り？」
黒島「Aさん、こんにちは。そうなんです、ちょうど二階堂さんに会ったから一緒に帰ろうって」
「そっか…じゃあ、お邪魔だろうから私行くね」
Aは控えめに手を振って2人から離れようとしたら二階堂はAの手首を掴んでいた。
二階堂「邪魔じゃないです。村神さんは手塚さんの所には？」
「えっと…今日は特には言われてないよ？」
二階堂「もし…時間あれば少しAIの事で話があるんでいいですか？」
「…うん、わかった。このまま行かせてもらおうかな」
黒島は見たことない二階堂の様子に驚いた。
自分には会話をしないと言っておきながら、Aには自ら声をかけていた事に疑問に思っていた。
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紫(プロフ) - 指摘ありがとうございます。読み返してチェックするのですが、やはり見落としがありますね。こうして報告してくれて助かりました。訂正しました。ご不快にさせてしまい申し訳ございません。 (2019年8月10日 7時) (
レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 31.5話、「小野」ではなく、「尾野」です。 (2019年8月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 15話に誤字がありました。「佐野って人をは」ではなく、「佐野って人は」です。 (2019年8月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます！二階堂くん可愛く表現出来てますかね？素敵なんて照れます…(*´ω｀*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年8月1日 23時) (レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - 凄く面白いです！二階堂くんが可愛い！文章力がとてもあって素敵です！これからも応援してます！ (2019年7月31日 21時) (レス) id: 7740be45b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2019年7月13日 19時
