21.5話 ページ26
彼女を知ってから自分は自分じゃなくなるような感覚になっていた。
朝食を持ってきた村神さん達は少しの間で変化していた。
"手塚さん"と呼んでいた彼女は戻ってくるいなや"翔太さん"と呼んでいた。
彼女がその名を呼ぶ度に胃の辺りがきつく痛む気がした。
同時に手塚さんへ苛立ちが増す。
そしてわかったことがあった。
彼女は何かと驚いたり、怖がったりしやすい。
木下さんの部屋で黒島さんがよろけた際に当たったステレオが鳴り響き、隣に居た僕に抱きついてきた。
僕に触れる度に彼女の香りでいっぱいになる。
彼女は気づかずに僕の服をきつく握りしめてしがみついていた。
これ以上触れられると何か別の感情が押し寄せてきそうだ。
そうこうしてると彼女は気づいたのか、慌てた姿で離れて行った。
自分の部屋に戻ってくるとソファーに腰掛けた。
眠れてなかったからウトウトとしてきたが、ニオイに反応して目が覚めた。
黒島さん…消臭しなかったのか。
不快には思わなかったが、村神さんの香りと違って安心したり、胸がざわついたりはしなかった。
何度か黒島さんのニオイを嗅いでみたが、やっぱり村神さんの時とは違う。
もう一つわかったのが、彼女に名前で呼ばれても嫌だと思わなかった事だ。
手塚さんがどーやんなどと呼ぶのは不快だが、彼は止めるつもりも無さそうなので諦める事にした。
その時に彼女から名前で呼ばれた時、思考が停止してしまった。
嫌という感情よりも先に何か別の感じがした。
手塚さんの部屋でボードを使ってまた情報をまとめる。
手塚さんは黒島さんへ疑う質問をしていた。
黙っていた村神さんが突然黒島さんを庇うように発言した。
彼女の過去と重ねていたみたいだ。
元彼らしいが…嫌な気分になってしまった。
モヤつく感情を消すようにシャワーを浴びた。
少しはサッパリするかと思ったが何も変わらない。
ため息をついて冷蔵庫からゼリーを取り出そうとしたらインターホンが鳴った。
モニターを確認したら村神さんの姿が映っていて、ゆっくりと玄関へ向かった。
村神さんは手作りのサンドイッチを持ってきた。
苦手だと言ったのに…説明しようと話をするが遮られてしまった。
強引に渡されたサンドイッチを抱えて部屋に戻りしばらくそれを見つめた。
意を決して口にすると、想像していたよりもすごく美味しかった。
手料理をずっと避けてきたのに、彼女の料理は食べれてしまった。
それを全て平らげると、僕の足は玄関へと向かって行った。
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紫(プロフ) - 指摘ありがとうございます。読み返してチェックするのですが、やはり見落としがありますね。こうして報告してくれて助かりました。訂正しました。ご不快にさせてしまい申し訳ございません。 (2019年8月10日 7時) (
レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 31.5話、「小野」ではなく、「尾野」です。 (2019年8月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 15話に誤字がありました。「佐野って人をは」ではなく、「佐野って人は」です。 (2019年8月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます！二階堂くん可愛く表現出来てますかね？素敵なんて照れます…(*´ω｀*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年8月1日 23時) (レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - 凄く面白いです！二階堂くんが可愛い！文章力がとてもあって素敵です！これからも応援してます！ (2019年7月31日 21時) (レス) id: 7740be45b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2019年7月13日 19時
