21話 ページ25
二階堂「あの…」
「…何？」
二階堂「黒島さんの話の時言ってた…」
「…過去の話？」
二階堂「はい」
(中途半端に話しただけだったから気になるのかな。
二階堂くんなら…話してもいいかな)
「私ね、ここに住む前は別の所に住んでたの」
二階堂くんはじっと私の目を見つめて聞いていた。
「その彼はね、暴力はふるわなかったけど態度や言葉で精神的に追い詰める人だったの。友人曰く、私は洗脳されてたんだよね。その人が言う事が正しいって。それでその彼にプロポーズされてね、その時は嬉しいって思ってた。でもね、同時に何故か不安も覚えたんだ」
二階堂「不安？」
「きっと何処かでこの人おかしいって思ってたんだと思う。だけどね、依存してた部分もあったの。だからプロポーズを受けようって思ってた。でもね…その返事をする日にね、母が倒れたの。だから私は理由を説明して会うのを断ろうとしたらね…」
二階堂「……」
「俺との約束と母親どっちが大事なんだ！って言われた。その時にやっと気づいたのね。あぁ、この人は私と家庭を築きたいんじゃない、言うとおりに出来る人が欲しいんだ、私を愛してないんだって」
二階堂くんはどんな気持ちで聞いてるのかな。
聞かなきゃ良かったって後悔しちゃうよね。
でも誰かに聞いて欲しかった私は止められなかった。
「そこからは修羅場だよね。別れ話してもろくに聞いてくれなくて、強行手段をとったの。住んでた所引き払って、携帯も解約して逃げてきたの」
あの時の事を思い出すだけで震えてくる。
必死で逃げた。
誰にも知られない所に、ここまで逃げてきた。
二階堂「今は？」
「どうしてるかはわからない。でも友人とか全て切ってきたの」
二階堂「両親は？」
「幸いって言ったら変だけど、母が倒れた後父も追うように亡くなったの。だからかな、全て無くなったしこれ以上無くなるもんなんてない！って勢いで逃げれたのかもね」
二階堂くんに話してスッキリした。
ちょうど話し終わった所で家に着いた。
「ありがとう、送ってくれて。…話も聞いてくれてありがとうね」
二階堂「いえ、僕から聞いたんで…」
「話してスッキリしたし、ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」
二階堂「はい、おやすみなさい」
私は二階堂くんに手を振って背を向けた。
その時背後から再び二階堂くんの声が聞こえた。
二階堂「サンドイッチ美味しかったです」
私は立ち止まって彼の方へ振り向くと既に走り出して行ってしまっていた。
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紫(プロフ) - 指摘ありがとうございます。読み返してチェックするのですが、やはり見落としがありますね。こうして報告してくれて助かりました。訂正しました。ご不快にさせてしまい申し訳ございません。 (2019年8月10日 7時) (
レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 31.5話、「小野」ではなく、「尾野」です。 (2019年8月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 15話に誤字がありました。「佐野って人をは」ではなく、「佐野って人は」です。 (2019年8月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます！二階堂くん可愛く表現出来てますかね？素敵なんて照れます…(*´ω｀*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年8月1日 23時) (レス) id: fbdf32b646 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - 凄く面白いです！二階堂くんが可愛い！文章力がとてもあって素敵です！これからも応援してます！ (2019年7月31日 21時) (レス) id: 7740be45b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2019年7月13日 19時
