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クリスマスイブの前夜。
つまりは、イブイブってやつ。
平日だからと言って、クリスマスに暇なケーキ屋なんて無い。
そりゃあ、クリスマス前の土日の方が忙しかったけど、今日も十分忙しかった。
正確に言うと、なんだか今日は、いろいろなお客様が来て疲れた。
時間指定でケーキを予約されたはずのお客様は来ないし、カフェではお客様がコップを倒すなんてことが7回もあった。
ばたばたしているからか、珍しくとっつーがお皿を落として割ってしょんぼりしているし、面倒な注文が続いて良亮がイライラしだす始末。
生クリームが苦手だから極力減らして出してくれ、なんてお客様にはさすがに「じゃあ生クリーム乗ってないの食えよ！！」と心の中で口の悪い私が顔を出したりもした。
そうしてやっと、店内が落ち着きだした頃。
給仕を手伝っていた支配人が「A、先にちょっと休憩しといで」と言ってくれて、事務室の椅子にぐでんと座り込んだのが、ついさっきのこと。
「疲れた……」
ひとり、天井に向かってため息をつくと、そのまま椅子にずずず、と沈んでいくような感覚になる。
30分きっかり休憩して店に戻ると、もう店内はだいぶ静かになっていて、とっつーと塚ちゃんが残った洗い物を片付けようとしている所だった。
「お疲れさま。あと私やっとくからいいよ」
そう声を掛けると、2人とも、じゃあこれが終わってから、なんて口を揃えて言う。
「いいって。今日はすごい疲れたでしょ？早く休憩してきなよ」
「でも…」
「ほら、とっつーもいつまでもしょげてないで！1回リセットしてきなって」
少し茶化してそう言うと、やっととっつーがふんわり優しい笑顔になった。
「ありがとう、Aちゃん」
「うん。ほら、塚ちゃんも」
「…本当にいいの？」
「いいって言ってるじゃん」
「…じゃあ、ありがと」
塚ちゃんはちょっと困ったみたいに笑って、2人で事務室に入っていった。
「よし」
2人がちゃんと休憩に入ったのを見届けて、洗い物を開始する。
しばらくするとカフェの閉店時間になって、パティシエの2人も明日のための買い出しに出掛けていった。支配人も今は、部屋にこもっているみたいだ。
洗い物を終えて、明日の予定数でも確認しておこうとレジに行くと、チリリン、と扉のベルが静かに鳴った。
「いらっしゃいま…」
「あの」
私の声を遮ったのは、小学生くらいの、小さな男の子のハッキリした声だった。
「あの、まほうのケーキください」
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
