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店から少し歩いた所にある、ブランコと小さなゾウの滑り台があるだけの、小さな公園。
２つ並んだブランコの片方に座って、ぼーっと月を見上げる白い影を見つけた。
「……寒くない？」
近付いて、ブランコの前に立つ。静かに声を掛けると、良亮は月から視線を動かして、真っ直ぐに私を見た。
「…そっか、今はAちゃんが来てくれるんだ」
「こういうこと、よくあったんだって？」
「いつもね、大体来てくれるのは五関くんか、とっつーだった」
なんとなく、納得する。あの2人は、とことん、優しい。
別に郁人も塚ちゃんも優しいけど、種類が違うっていうか。
「久々にやっちゃった。もう大人になったはずだったんだけどなぁ」
上着、ありがと。と言って私の手からダウンジャケットを受け取る。
やっぱりこの時期にコックコート1枚じゃ寒すぎたんだろう。すぐにもそもそと袖を通して、「あったけぇ」と呟いた。
「…大丈夫？」
どう声を掛けたらいいのかわからなくて、ただそれだけを尋ねる。
するとまた、視線を大きな月に戻して、うん、と小さく頷いた。
「ちょっとね、できない自分にイラついた」
「うん」
「そんで、分かってること言ってくるふみとにも、むかついちゃった」
「…うん」
「あの人の言うことは正しいよ。…でも、正しすぎて、存在が大きすぎて自分が嫌になる時がいっぱいある」
「…そっか」
私はただ、良亮の言葉に頷いて、受け止めることしかできなかった。
郁人は郁人で、良亮への接し方とか、指導の仕方に気を遣っているのを、私は知っている。
でも、良亮にしてみたら、郁人は絶対的な師匠で、大きすぎる憧れの存在なんだろう。
「ねぇ、Aちゃん」
「ん？」
「おれ今へこんでるからさ、ちょっと慰めて」
「…ん」
郁人もへこんでたよ、なんて余計なことは言わずに。
そーっと、良亮の頭に手を伸ばして、そのままぱふぱふと撫でる。
ふわふわした茶色の髪が手のひらに心地良い。
「ちっちゃい子みたい」
「いいよ別に」
良亮は柔らかい表情で、気持ちよさそうに目を細める。
「Aちゃんによしよしされると、なんか、すっごい癒される」
「それは…良かったです」
「あはは、何その返事」
笑いながらふっと見上げた良亮の大きな目の中に、街灯の明かりがキラキラと入り込む。
ああ、この子はなんて綺麗な目をしてるんだろう。
真っ直ぐで、嘘が無くて、眩しい。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
