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「あのね、タルト・タタンは、失敗から生まれたケーキなんだ」
唐突に、だけど静かに語りだしたとっつーに、りんこちゃんはようやく、顔を上げた。
「一度失敗したりんごのキャラメリゼだって、後からタルト生地を流し込んだからおいしいタルト・タタンになった。失敗が無ければ、生まれなかったんだよ」
とっつーが、まっすぐにりんこちゃんを見る。
りんこちゃんもまた、まっすぐにとっつーを見ていた。
「君が、もう嫌だってなっても、その後で何かが起こるかもしれない。そうしてひっくり返したら、おいしくなるかもしれない」
おいしくなるの？と、ようやくりんこちゃんに少し笑顔が戻る。
「そう。おいしくなるかもしれない。だから、諦めたらだめだよ」
「……」
「今は楽しくなくても、いつかきっと楽しいと思える日が来るよ」
「…こないもん」
「いや、来る。だって君は、こんなに愛されているんだから。愛されている人が、幸せにならないなんてことは絶対に無いよ」
りんこちゃんは再びじっと黙り込んだ。
とっつーの言葉は、小さな女の子には難しすぎる。どこまで伝わったかは分からないけれど、私はとっつーの言葉が好きだなと思った。りんこちゃんに、この気持ちが伝わっていたらいいな。
そんな想いが届いたのかどうかは分からないけれど、りんこちゃんがぽつぽつと、話し出した。
「…いつもね、おかあさんがつくってくれたの。りんこだからね、りんごのケーキをつくってあげるって」
「…うん」
とっつーが、静かに微笑んで相槌を打つ。
「おかあさんに会えなくて、さみしくて、じぶんのお家じゃないのがいやだったの」
話しているうちに、ぽろん、ぽろん、と涙がこぼれていく。
きっと、抱え込んで、ため込んで、もういっぱいいっぱいになってしまっていたんだろう。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
