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「タルト・タタン？」
「そう。どうしても食べたいって」
支配人の問いに、りんこちゃんは迷いなく「タルト・タタン」と答えた。やはり、よっぽど食べたかったらしい。だけど今、この店にはタルト・タタンは並んでいないし、もうすぐカフェが忙しくなってくる時間帯。私は郁人に相談した。
「忙しいとこ申し訳ないんだけど…今から焼ける…？」
「まぁ、材料はあるし、別に焼けるけど…1時間はかかるぞ？」
「大丈夫だと思う」
「ん、了解」
郁人はそう言って、手早くりんごを切り分け、キャラメリゼし始める。そこはさすがの手際の良さ。
郁人の手際の良さに感心していると、厨房の入り口に、小さな影が見えた。
「…？りんこちゃん？」
名前を呼ぶと、ちらりと扉から顔を覗かせ、私を見上げた。
「…はいっちゃだめ？」
「え？うーん…どうかなぁ…衛生的な所もあるし…」
騒ぐような子じゃないし、入れてあげたいところだけど、今はいろんな基準が厳しい。
そんなことを考えていると、「ただいま〜！」という元気な声が厨房の勝手口から聞こえた。
「あ、はっしーおかえり」
「見て！あそこのお姉さんフルーツめっちゃサービスしてくれた！…って、ん？」
良亮の視線が、私たちに止まる。
「あれ！なにこのカワイイ子！」
そう言って勢いよくりんこちゃんの目の前までやってきて、ひょこんとしゃがんだ。
りんこちゃんは、びっくりして目を丸くしている。
「こんにちは！おれ、りょーすけ！何ちゃん？」
にこっと笑ってそう言う良亮に気圧されたかのように「りんこ…」とだけ呟いた。
「何歳？」
「５さい…」
「どうしたの？見学？Aちゃんの知り合いの子？」
そう言って上目遣いで私を見るので、簡単に事の経緯を説明すると、「ふうん、そっか…じゃあ寂しいね」と、しゅんとした顔になった。
すると、フライパンの火を止めながら突然郁人が言った。
「はっしーさ、その子と遊んで来たら？」
「え！いいの！」
「忙しくなったら呼ぶわ」
「まじ！？ふみとサイコー！りょーかい！」
突然のことに、目をぱちくりしているりんこちゃんの手を取って、もう一度良亮が王子様みたいにきらん、と笑う。
「よし、行こっか」
訳も分からぬうちに、ふたりは手を繋いで、まるでおとぎ話のワンシーンのように扉の向こうへと駆けていった。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
