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「元々は、『タタン』というホテルでケーキを作っていた姉妹が、りんごをキャラメリゼする時にこがしてしまったのが始まりでね。その失敗を取り戻そうと、フライパンに直接タルト生地を流し込んでオーブンで焼き上げた。そうしてひっくり返してみたらあら不思議、とてもおいしいタルト・タタンの出来上がりさ。それが評判になってこの姉妹は…」
とっつーが早口でぺらぺらと語りだす。
ケーキの知識量は誰よりもあるとっつーは、こんな風に語り出したら止まらない。
それもこれも、ケーキへの大きな愛と、少しでもこの店の役に立ちたいというこれまた大きすぎる愛ゆえなのだけど。
りんこちゃんも、ぽかんととっつーを見上げている。
「まぁ、とっつーの言うことは気にしなくて…」
塚ちゃんがりんこちゃんの背中にぽん、と手を置こうとしたら、
「あ！」
と、突然するりとその手をかわし、りんこちゃんはカフェへと走っていく。
塚ちゃんの手が、すかっと宙を掻いた。とっつーが、くくく、と笑っている。
「うわぁ！このいす、お姫さまのいすみたい！」
キラキラと目を輝かせてりんこちゃんが言う。うちのカフェに置いてある椅子は、塚ちゃんが選んだものだ。塚ちゃん曰く、「こういう方が女性は喜ぶから」。背に細かな細工が施された椅子は、確かにお姫様が座るような豪華なものに見えるかもしれなかった。
手の行き場を無くし、ぽかんとしていた塚ちゃんが気を取り直してどや顔で言う。
「あ、その椅子ね。やっぱり、女の子はそういうの好きでしょ？」
再び塚ちゃんが近付き、隣に並ぶと、りんこちゃんはくるりと踵を返してショーケースの向こう側に興味を示した。
「ねぇ、Aさん、あっちはなに？」
「俺のことは無視かよぉ……」
興味津々な目を私に向けるりんこちゃんの後ろで、塚ちゃんが力なく呟いて嘆いた。
「残念だったな」
と、にやにや顔で目を細めたとっつーが追い打ちをかけるように言って、塚ちゃんの肩にぽん、と手を置いた。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
