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「あのね、お母さん言ってたんだ。まほうのケーキは食べるとふわふわで、幸せになれるのよって。お母さん、元気になるんだって」
一生懸命に男の子が言う。
ふわふわしているケーキ…？そう言われても、ケーキのスポンジは大体、ふわふわしているし。
「…どうしてお母さんは元気が無いの？」
何か小さなことでもヒントが無いかと、質問を変える。
もしかしたら、エピソードの中にケーキのヒントがあるかもしれないし。
「うーん、わかんない。でも、ずっと元気が無いの」
「そっか…」
「まほうのケーキ食べたら元気になるかなあって」
男の子は、ぶらんぶらんと足を揺らす。
「前にね、１回作ってくれたことがあるよ。すごくおいしかったことだけは、覚えてるんだけど」
「え、見た目とかは覚えてないの？」
「うーん…ふわふわして、むくむくしてたかな……あ！」
「何か思い出した？」
突然、何かを思い出したように男の子はふわりとベンチから降りた。
「僕、そろそろ行かなきゃ！」
「えっ？」
「じゃあね、ケーキ屋さん」
男の子はにっこりと笑って、公園の出口へと走っていく。
あまりにも突然の出来事に、私はぽかんと、その様子をただただ見送るしかなかった。
「…A？」
突然背後から聞こえた声にばっ！と振り向くと、そこには。
「支配人…」
「なに、サボり？1人でこんなとこ座って」
にやにやしながら近付いてくる支配人に、慌ててぶんぶんと両手を振る。
「違います！！お客様と、少し話してて」
「お客様？」
「そう、ほら、昨日話したじゃないですか、男の子」
「あぁ、魔法の」
支配人も思い出したようにうんうん、と頷く。
「なんか分かった？」
「いえ…あ、でも、もしかしたら…うん」
「…そんなことより、いつまでもこんなとこ居たら風邪ひくぞ？」
「え、ああ、はい……は、くしゅん」
そういえば、ワゴンで来たからそんなに着こまずに外に出てきてしまった。
いけない。今風邪なんかひいたら、お店に迷惑かけまくりじゃないか！
しまった、と思ったのが顔に出ていたのか、支配人が私を見てふっ、と笑う。
「ほら、一緒に帰ろう」
ふわりとほほ笑んで手を差し出されて、不覚にもどきっとした。
…のもつかの間。
「車乗せてって」
「言うと思いました。いい加減免許取ってくださいよ、もう」
「だって皆運転できるじゃん。俺いらないよ」
そう言ってへらへら笑う支配人は、やっぱりいつもの支配人だ。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
