ep.2 迷子のタルト・タタン ページ13
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ＡＭ１０：２５。
いつものように、看板を出して店の前を軽く掃除する。いつものルーティーン。
最後に店の外観をチェックしようと、通りに降りたところで、すぐ傍の曲がり角から、何やら視線を感じた。
「…ん？」
そこにいたのは、小学生になるかならないかくらいの、小さな女の子。
私が気付いたのに気付いて、ずんずんと近付いてきた。
「え、え？」
突然の、そして予想外の来客に戸惑う私を女の子がじっと見上げたので、反射的に腰を落とし、目線を合わせた姿勢になって言う。
「…いらっしゃいませ……？」
うちは、小さな女の子がひとりで来るような店ではない。だからついつい、語尾も疑問形になってしまう。
…いや、でも、お母さんの誕生日にひとりでケーキを、とか…？そういう感動系のお話？
女の子と向かい合ったまま、ひとりでもんもんと考えていると、
「わたし、まいごなの」
と、女の子が言った。
「……まいご」
小さな女の子の喋り方につられたように、ひらがな表記の発音をしてしまう。
それからハッとして、
「迷子なの？お母さんと一緒にお買い物に来たのかな？」
と、精一杯の優しい笑顔で尋ねた。
「……」
すると、女の子は急に黙り込んでしまった。
お母さんのことを思い出させてしまったのがいけなかった…？悲しい気持ちにさせてしまったのかも。
そう気付いて、慌てて質問を変える。
「あ、ねぇ、あなたのお名前は？私はAって言うの」
精一杯の笑顔を保ったまま、なるべく明るい声で言う。
自分から名乗れば、ちょっとは安心してくれるかもしれない。そう思ったのに。
「…お姉さん、ケーキ屋さんのひと？」
「え？」
質問に質問で返されて、少し戸惑う。
「えぇ、そうだけど……」
女の子は、ドアのガラス越しに店内をちら、と見てから、もう一度私の目を真っ直ぐに見て、
「りんこ」
と言った。
「りんこちゃん？」
「そう。あまきりんこ」
迷子と言っていた割には、ハキハキとしっかり喋る女の子、改めりんこちゃんは、ちらちらと店の中を気にしている様子。早く近くの交番にでも行った方が良いような気がするけれど。でも。
「…とりあえず、中に入る？」
と聞くと、こっくりと頷いた。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
