6 ページ6
・
「ごめんごめん、俺の伝達ミスだよ九条さん。大丈夫、気にしないで」
そう言って専務はキラン、という効果音の付くような笑顔を見せた。
この人、無駄にかっこいいんだよなあ。
思わず「はぁ…ありがとうございます…」なんて気の抜けた返事をしてしまうと、五関部長が私の斜め前で「こほん」とひとつ、咳払いをした。
「それで、どういったご用件で」
「想像は付いてるくせに」
滝沢専務は、部長を横目で見て、にやり、といたずらっ子のように笑ってみせた。
「幹部級再編成の件だよ」
「やっぱそうですか」
ふう、とため息を一つついて、部長が私の方に振り向く。
「A」
「はい」
タブレットの端末から、さっき見た幹部候補の資料を呼び出して部長に手渡す。
少しだけ、滝沢専務が目を丸くしたような気がした。
「このデータ、多分どっかで書き換えられてるんですよね」
「やっぱりそうか、そうだよな…」
うんうん、と何かを確認するように細かく頷き、よし、と滝沢専務は言った。
「五関と九条さんで、この件探っておいて」
「は」
部長の顔をちらりと見ると、「何故そんな面倒なことを」と顔に書いてあって、思わず笑いそうになったのを「ンンッ」という小さな咳払いで誤魔化す。
そう感じたのは専務も同じだったようで、「よろしく」という笑顔は、部長ではなく、斜め後ろに控えた私をばっちり捉えていた。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏風(プロフ) - 初めまして。素敵な作品だったのですね。五関君の作品はあまりないので、見つけて嬉しかったです。お話もとっても素敵で、最後まで一気に読んでしまいました。 (2022年8月3日 12時) (レス) @page5 id: 0c5b809cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 五関くんに引き続き、橋本くんと戸塚くんのストーリーも気になります。早く読んでみたいです。これからも、A.B.C-Zのストーリーを期待しています。 (2019年11月30日 0時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - 妙子の娘さん» お久しぶりです〜!続けて読んでくださっていて嬉しい…!お待たせしてばかりですみません……もうちょっとさくさく書けるように努力します!笑 (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - ふーみんさん» ふーみんさん、ありがとうございます…!なんとお優しい……えびちゃんのお話、もっと増えて欲しいですよねぇ!キュンキュンして頂けるように、頑張ります!! (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
妙子の娘(プロフ) - お久しぶりです。今回も楽しく読ませて頂きました。早く続気が読みたいです。待ってまーす! (2019年10月30日 22時) (レス) id: 3bfa5bcd50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ろっか | 作成日時:2019年8月26日 0時