あなたの背中

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社内の人たちの管理。
まあ簡単に言ってしまえば、人事ってそういう感じ。

育児休暇の書類がどうだの、残業申請がこうだの、有給取得率をあげるには云々かんぬん。


それから、社内の人たちが、心地良く仕事をしているかどうか？ってのも、大事。
働き方改革、なんて世間じゃ言われているわけだし。

セクハラ、パワハラ、その他諸々、人間関係に関する諸問題。
いろいろなことを解決に導き、働きやすい会社をつくるのも、人事部の仕事……らしい。
と言っても、五関部長自身は細々とした人間関係の問題には関わりたがらないし、そういうメンタルケア的な業務は、他の人に任せっきりな所もあるのだけど。

いいのか、部長がそんなんで。


…とはいえ、周囲から五関部長への信頼はとんでもなく厚い。




大事な荷物を落とさないようにしながら、必死で部長についていくと、着いた先は専務室だった。
コンコンコン、と部長が綺麗な手でノックすると、中から「どうぞ」という声が聞こえた。

「失礼します」

「おー、五関、やっと来たか」


にこやかに私たちを迎え入れてくれたのは、滝沢専務だった。


「やっと？」

「九条ちゃんにちゃんと伝えたよ、ここに来いって」

「時間があれば、という話じゃなかったですっけ」

「ん？そうだっけ？」


にこにこと話す滝沢専務に、一瞬、私の伝達ミスかと冷や汗をかく。
緊急の用事だったのであれば、忙しい専務をお待たせしてしまったことになる。


「す、すみません、専務」

「なんでお前が謝るの」

「私の伝達ミスなのではと…」

「いや多分違うから」


私たちのやり取りを聞いて、滝沢専務がぶっ！と吹き出した。



「あー、もー、ほんっと五関は九条ちゃんが大好きなんだからー」


……どこかで聞いたようなその台詞。
何をどうしてそのような思考に…？

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