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「だって、なんか今日はいろんな人に聞かれるんです、大丈夫?って」
「ああ、そういうこと」
「だからそんなにひどい顔をしているのかと…」
「ひどい顔してる自覚があるってことね」
主任が何でもないことのようにそう言って、ちょっと焦る。
「え」
「だって自覚が無いと、そんな風に考えないでしょ?私は例の件の進捗状況聞いただけよ」
「…あ」
「何かあるなら、話聞くけど」
「だ、大丈夫です…」
話を聞いてもらおうにも、部長の結婚が気になって仕事が手につきません!…なんてこと主任に言える訳もなく。丁重にお断りする。
こんなしょうもない恋愛相談で主任の貴重なお時間をいただく訳にはいかない…
「…ふうん、ならいいんだけど……あ、そういえばおたくの部長」
「へぁっ!?」
「ぷ」
突然の五関部長の話題に、どこから出たのか自分でも分からないような変な声が出た。
そんな私に、主任は肩をぶるぶる震わせている。
「ちょ、Aちゃ、分かりやすすぎ…ふっ」
「ななななななんでしょうか」
「動揺しすぎ…ふ、あはは」
主任が体をくの字に曲げてくくく、と笑っている。
あああ、憧れの主任に醜態を晒してしまった…穴があったら入りたいとはまさにこういう時に使うんだな…
そんなことを考えていると、
「楽しそうだな」
という、別の声が頭上から降ってきた。
驚いて振り返ると、そこに立っていたのは。
「あれ、郁人」
「か、かか河合課長、え、なんで」
「楽しそうじゃん、俺も混ぜて」
「だめですー、今から女子トークするんですー」
「は?お前女子だったのか」
「失礼な」
「おっさんだと思ってたわ」
「ふうん?じゃああんたはそのおっさんに惚れてるってわけだ」
「なっ…っだー!やられた!」
「……え、え?えっと」
「ん?あ、ごめんね?騒がしくしちゃって」
そう言って主任は、ふふふ、と笑った。
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奏風(プロフ) - 初めまして。素敵な作品だったのですね。五関君の作品はあまりないので、見つけて嬉しかったです。お話もとっても素敵で、最後まで一気に読んでしまいました。 (2022年8月3日 12時) (レス) @page5 id: 0c5b809cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 五関くんに引き続き、橋本くんと戸塚くんのストーリーも気になります。早く読んでみたいです。これからも、A.B.C-Zのストーリーを期待しています。 (2019年11月30日 0時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - 妙子の娘さん» お久しぶりです〜!続けて読んでくださっていて嬉しい…!お待たせしてばかりですみません……もうちょっとさくさく書けるように努力します!笑 (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - ふーみんさん» ふーみんさん、ありがとうございます…!なんとお優しい……えびちゃんのお話、もっと増えて欲しいですよねぇ!キュンキュンして頂けるように、頑張ります!! (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
妙子の娘(プロフ) - お久しぶりです。今回も楽しく読ませて頂きました。早く続気が読みたいです。待ってまーす! (2019年10月30日 22時) (レス) id: 3bfa5bcd50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろっか | 作成日時:2019年8月26日 0時