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その日は結局、部長は珍しく外回りだったとかで、とうとう人事部には戻らなかった。
寂しいような、ほっとするような。
今このタイミングで部長の顔を見てしまったら、私は泣き出してしまうかもしれないし。
「お先に失礼します」
今日も何とか業務をこなし、まだ残業している人事部の皆さんに申し訳なさを覚えつつ、一足先に退社。
特別予定がある訳ではないし、仕事は少し残っているけれど、今日はもう、これ以上頑張れそうになかった。結構、情緒不安定だ、私。
帰宅ラッシュの満員電車は久しぶりで、ぼーっとしていると押しつぶされてしまいそうだった。
必死で踏ん張って、降ります、すみません、と言いながらなんとか家の最寄り駅。
家に帰って、ベッドにぼふん、と倒れ込む。
なんだか今日は、すごく疲れた。
心に元気が無いと、体までずしんと重く感じる。
しばらく目を閉じていると、じわっと涙がにじんでくる。
ぼーっとした頭で、スマホを開くと、久しぶりに母からのメッセージが届いていた。
どうやら、商店街の福引きで、高級ホテルのお食事券をゲットしたらしい。『あんた週末暇？』というメッセージと共に、可愛らしいネコが小躍りしているスタンプ。
へえ、すごい。高級ホテル。
母と食事をするのも、ずいぶん久々だ。特別仲が良い訳でも、悪い訳でも無いけれど、仕事が忙しくてなかなか実家になんて寄らないし。まぁ、一人暮らしの社会人なんて、そんなものかもしれない。
ゆるゆると起き上がり、手帳を開いて週末の予定を確認する。
うん、特に何もない。
『暇だよ』
と返信すると、さっきのネコがやったー！とバンザイしているスタンプが送られてきて、思わずふふっと笑ってしまった。
高級ホテルか。何着ていったらいいんだろ。
ふと、この前の社交パーティーを思い返してしまう。
あの会場も、有名なホテルだった。
『五関くんもっとキレイ系の子が好みだもんね』
『お見合いするって話ですよ、社長の姪っ子さんと』
あの時の北山さんの言葉と、今朝の砂本さんの言葉が頭の中に蘇る。
…社長の姪っ子さんって、キレイ系なのかな。違うといいな。
お見合い、断らなかったのかな。断れなかったのかな。
どんどん思考が、自分の都合のいい方向に傾いていって、そんな自分が少し嫌だった。
部長がお見合いを断った所で、別に部長の気持ちが私に向くわけじゃないのに。
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奏風(プロフ) - 初めまして。素敵な作品だったのですね。五関君の作品はあまりないので、見つけて嬉しかったです。お話もとっても素敵で、最後まで一気に読んでしまいました。 (2022年8月3日 12時) (
レス) @page5 id: 0c5b809cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 五関くんに引き続き、橋本くんと戸塚くんのストーリーも気になります。早く読んでみたいです。これからも、A.B.C-Zのストーリーを期待しています。 (2019年11月30日 0時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - 妙子の娘さん» お久しぶりです〜！続けて読んでくださっていて嬉しい…！お待たせしてばかりですみません……もうちょっとさくさく書けるように努力します！笑 (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - ふーみんさん» ふーみんさん、ありがとうございます…！なんとお優しい……えびちゃんのお話、もっと増えて欲しいですよねぇ！キュンキュンして頂けるように、頑張ります！！ (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
妙子の娘(プロフ) - お久しぶりです。今回も楽しく読ませて頂きました。早く続気が読みたいです。待ってまーす！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: 3bfa5bcd50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年8月26日 0時
