あなたのためには ページ18
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「…あれ、部長は」
「先程どこかへ行かれましたよ。会議では？」
…今日、会議はスケジュールに入っていなかったはずだ。
部長のスケジュールを管理しているのは私だから、よほどのことが無い限り、私を通さずに仕事が入ることは無いんだけど。
違和感を覚えつつ、朝から部長に会えなかったことにしゅんとしつつ。
今日も通常業務をなるべく早く終わらせるべく、奮闘する。
「そういえば、九条さん」
隣から突然、砂本さんに話しかけられてドキッとする。
「は、はい！」
「なんでそんなにびっくりするんですか」
あはは、と爽やかな声で笑われる。
そうして何故か急に、声を潜めて話し出した。
「部長の話、聞きましたか」
「え」
さっきとは違う意味で、ドキッとする。
部長の話って、なに。
もしかして。
「お見合いするって話ですよ、社長の姪っ子さんと」
すごいですよね、気に入られてますね部長、なんて砂本さんの声が、右から左へと抜けていく。
頭をがつんと岩で殴られたみたいな衝撃。殴られたこと無いけど。
やっぱり。
やっぱり、噂は本当だったんだ。
おばさまたちの情報網って、すごいな。
頭の中を、いろんな思考がぐるぐるとまわる。余計なことまで考えてしまって落ち着かない。
それでもなんとか、砂本さんに怪しまれないように、「え、え！そうなんですか！知らなかったぁ！」と目を丸くしてみる。
それでも、段々目の下の方からじわりと、何かがせりあがってくるような感覚がして、慌てて、
「あ！そうだ！忘れてた！！すみません、砂本さん。私行かないと」
なんて忙しいフリをして、深く深く頭を下げて、逃げ出した。
自分で思っているよりもずっとずっと、心はショックを受けていて、そんな自分に少しびっくりした。
私、やっぱり部長のこと大好きなんだな。
…寂しい。
部長が、知らないひとになってしまうみたいで、なんだか寂しい。
人事部から少し離れた場所にあるトイレに逃げ込む。
誰もいないのを良いことに、個室に籠って少しだけ泣いた。
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奏風(プロフ) - 初めまして。素敵な作品だったのですね。五関君の作品はあまりないので、見つけて嬉しかったです。お話もとっても素敵で、最後まで一気に読んでしまいました。 (2022年8月3日 12時) (
レス) @page5 id: 0c5b809cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 五関くんに引き続き、橋本くんと戸塚くんのストーリーも気になります。早く読んでみたいです。これからも、A.B.C-Zのストーリーを期待しています。 (2019年11月30日 0時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - 妙子の娘さん» お久しぶりです〜！続けて読んでくださっていて嬉しい…！お待たせしてばかりですみません……もうちょっとさくさく書けるように努力します！笑 (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - ふーみんさん» ふーみんさん、ありがとうございます…！なんとお優しい……えびちゃんのお話、もっと増えて欲しいですよねぇ！キュンキュンして頂けるように、頑張ります！！ (2019年11月4日 0時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
妙子の娘(プロフ) - お久しぶりです。今回も楽しく読ませて頂きました。早く続気が読みたいです。待ってまーす！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: 3bfa5bcd50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年8月26日 0時
